海外赴任者の予防接種計画を考察する③
2019.03.04
家族が赴任する場合、はやり気になるのは現地での病気。また、海外特有の感染症は親としてとても気になるところです。ここで今回は子供の予防接種について考察していきたいと思います。
子供の予防接種の現状
日本にいると予防接種を気にせず渡航する方が多く見受けられます。しかし、海外で生活をすることは、いつでも感染することがあることを意識しなければなりません。もし海外赴任に子供を連れて長期間の赴任となると、ワクチンを接種してこないと入学を認めない学校もあります。最近赴任者に人気のあるインターナショナルスクールも同様で場合が多いので注意してください。子供を現地校や国際学校に入れようとすると、予防接種の記録を求められます。その場合、母子手帳を英訳したものと原本を見せるか、あるいは日本で作ってもらった健康診断書の予防接種欄を見せてください。但し、接種していないワクチンがあった場合は、すぐに接種しろと言われるかもしれないので、その時は慌てずに、医師に相談してください。
日本はWHO世界保健機構が定める予防接種の規定と異なる方法をとっているのをご存知でしょうか。例えば、新生児が母親からもらう免疫は半年ももたないため、生後三カ月までに予防接種を開始します。これは一例ですが、世界の予防接種の標準は日本とは異なります。特に注意しなければならないのは、予防接種を受け入れる場合の心理状態です。日本人は先進国で必要なワクチンの接種を強要されても「世界の標準はそうなのか」と納得できますが、発展途上国で同じことを言われると、過剰反応を起こし反発しやすいものです。
体調を整える
日本も昔は世界の標準に従っていましたが、副作用による死亡事故の訴訟が相次ぎ、1970年に当時の厚生省が日本独自の規定を定めました。特に予防接種は体調の良い時におこなってください。そのためにも、子供の状態をよく観察して、医師に正確に報告することが必要です。副作用については、日本では行政の責任にされますが、海外では親の責任と捉えられるのが普通です。しかし、出国までに予防接種が完了しなくても、焦らないでください。とにかく、まず体調を整えさせること、そして不安を抱かせないこと。これらを最優先にしてください。
WHOの基本的予防接種の規定
小児麻揮
ポリオを三回以上服薬し、最初の2回を8~10週間の間隔で飲みます。さらに6~12ヶ月後に、3回目を飲みます。一般に次のDPT と一緒に行われます。
三種混合(DPT二ンフテリア、百日咳、破傷風)
3~8週間の間隔で三回注射し、さらに6~12カ月後に、4回目の注射を行います。7~9歳の間に、DT(ジフテリアと破傷風の混合)を1~2月の間隔で2回打ちます。6~12ヶ月後、3回目の注射を打つのが一般的と言われています。
新三種混合(MMR 麻疹 おたふくかぜ 風疹)
12ヶ月~15ヶ月頃に、一回注射するのが一般的です。子供が既にそれらを経験していれば、既往症については免除されます。日本では、MMR 接種後の副作用事故が続発し、1993年で、公費による接種を中止になっています。現在では三種別々に接種しています。
結核、インフルエンザ、肝炎、肺炎、水痘
これらの予防接種は各国の流行の度合いにもより異なります。そのため、医師の判断に任せることになります。狂犬病については、動物に噛まれたら血清を打つことになっているため、予防接種は省きます。またコレラは抗生物質で治るから不要です。これら以外については、ワクチン同士の競合の危険があるので、幼児には不向きだとされています。発展途上国ですと、寄生虫が気になりますが、予防接種はなく、コンパントリンなどの総合駆虫剤を、定期的に飲むことが普通のようです。心配の場合は、現地側で薬局に相談に相談し、寄生虫の予防法や駆除法を確かめておくこともよいでしょう。