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株式会社マイグローバル・ジャパン

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海外で生活する前に知っておきたかったコト!Overseas Tips

【連載】失敗から学ぶ海外人事(第2話 グローバル人材って、どんな人?)

2019.03.18

 

第2話 グローバル人材って、どんな人?

 

ある企業の海外人事担当者さん、ため息つきながら言いました。
「うちはグローバル人材不足で、海外赴任の候補者選びに苦労してるんですよぉ。」

 

ふと、素朴な疑問が心に浮かんできて、「グローバル人材って、どんな人なんですか?」と訊いたら、その担当者さん、「えっとぉ・・」しばしの沈黙の後、「そこですよねぇ!まず、そこからですよねぇ。」

 


分かってないけど、分かってるような気になってることが多いですよね。
自分は分かっているという前提を疑うことが、本当の改善の始まりかもしれません。

 

海外赴任予定者に研修を施して、どういう人材になってもらいたいのでしょうか?

 

経営陣や海外人事は、その人物像をしっかりと策定しておかなければなりません。大手企業の中には、元海外駐在員を海外人事に配属しているところがあります。駐在経験を活用し、実践的研修プログラムを創り上げています。

 

一方で、中小規模の企業では、コスト的に十分な研修は難しいのかもしれません。だからといって、何もしないで駐在員を派遣すると、海外事業の崩壊を招くリスクがあるので放置できませんよね。

 

最近では「グローバル人材育成」という、海外駐在員研修よりもっと範囲を広げて、全社員のグローバル化を推進している企業を見かけるようになりました。

 


では、グローバル人材とは、いったいどういう人のことを言うのでしょうか?


【グローバル人材とは?】

経済産業省のホームページに、「グローバル人材育成委員会」というページがあります。
2010 4 月発行の報告書に、グローバル人材の定義が端的に記述されています。

 

「グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え、多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる人材。」


とても格調高いですね。こういう人材が社内に沢山いれば、きっと儲かります。 残念ながら、
私は、定義通りの人に会った経験はありません。

 

 

【言うが易し、行い難し】

ここで、私の海外工場勤務時代の失敗談を一つ。ある日、倉庫を巡回していると、作業者がラジカセで音楽を鳴らし歌いながら、楽しそうに作業しているところに出くわしてしまったのです。

 


すぐに倉庫の現地マネージャー(以下、「マ」)を呼びつけ、「あれは、なんや?すぐに音
楽をやめさせろ!」と指示したのです。彼は、平気な顔で言いました。

 

マ「えっ?なんでだめなの?みんな、楽しそうじゃないですか。」


私「ながら作業すると、注意散漫になってミスするし怪我するだろうが!」

 


マ「ここの連中は、音楽鳴ってた方が作業に集中できるんだよ。」

 


私「職場規律っちゅう言葉を知っとるか?」

 


マ「音楽聴いちゃいけないなんて、就業規則のどこにも書いてないぜ。」

 


私「がたがた屁理屈いうな。とにかく禁止だ!他の現場にしめしがつかん。」

 


マ「いきなり禁止したら、みんな文句言うよ。ここではソフトにやらなきゃ、後で面倒なことになるぜ。まぁ、わかったよ。何と かするから、そんなに熱くなるなよ。」


数時間後、驚いたことに音楽はぴったり止み、倉庫では全員が静かに作業していたのです。「意外に簡単だったみたいだね。」とマネージャーに言ったら、
「あははは!あいつらに、日本人のボスは音楽が嫌いらしいって言ったのさ。」

 

当時の私は、誰のアドバイスにも耳を貸さない生意気な若造でした。異文化理解や価値観の尊重など、収益性と効率を追求する現場にいると、どこかへ飛んでしまうのです。相手が、心を持った人間だということを忘れていました。

 

強気な態度を変えないまま 1 年後に、私に不満を抱いていた倉庫の作業者達の労務問題が発生。工場の稼動が大混乱しました。それ以来、現地スタッフの言葉に耳を傾けるようになったのです。

 

【人材育成の本質とは?】

最近、グローバル人材育成に関するセミナーのネット動画を観ていて、著名な大手の人事マンが、最後に言った言葉が心に沁みました。「いろいろやりましたが、仕組みだけでは人は育たないというのが結論ですよ。人間は、 心に響かないと絶対に変わりません。」


語学研修や異文化理解など、さまざまな研修が企業で実施されています。真に効果的なグローバル研修・赴任前研修とは、いったいどういう研修なのでしょうか?


皆さんも、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか?研修制度の設計は、会社の将来を描く仕事です。高額な研修は無理でも、工夫すれば心に響かせる方法があるかもしれません。

 


来週は、赴任地での「困難な生活設営」について、考えてみたいと思います。

 

 

 

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