海外人事
意外と知られていない!? 中堅・中小企業安全対策ネットワークとは?(海外引越よもやま話)
2019.12.25
中小企業が赴任者を送る際に最も懸念するのは安全性!?
海外赴任者を現地におくる時に最も配慮しなければならないのことは、まずは安全性です。ですが、日本にいると、どうも、この安全性が漠然としており、自分事のように思えないところがあります。また、日本人の海外赴任は、バブル時代における憧れのようなものが先行してしまい、安全性よりも、喜びの方が先に来てしまう傾向があります。
また、中小企業における海外進出時の安全性というものは、具体的に何をしてよいのかわからいないことが現実です。大企業であれば、数十年も前から、海外進出を行っており、安全意識も高く社内に赴任経験者もいるため、ノウハウが蓄積されやすいです。
しかしその一方で中小企業になると、そのようには行きません。そこで、外務省では安全対策に比較的に弱いと考えあれる企業向けの「中堅・中小企業安全対策ネットワーク」というものを設立しています。ここでどのようなことが話合われているのかを見るだけでも、中小企業の海外進出の際にどこに注意をするべきかがわかるはずです。
1.中堅・中小企業安全対策ネットワーク
2016年7月のダッカ襲撃テロ事件を受け,中堅・中小企業関係者の海外安全対策を強化するために、2016年8月2日に外務省が発表した「『在外邦人の安全強化にかかわる検討チーム』の提言」点検報告書を受け創設することとなった枠組みです。
外務省が中心となり,日本企業の海外展開に関係する以下2の組織・機関が参加しています。新たな組織・機関は,ネットワーク会合での合意により追加されます。このネットワークを通じ,中堅・中小企業を含めた幅広い企業関係者に対して,安全対策に関するノウハウ,危険情報及び企業側のグッドプラクティス等の情報を効率的に共有し,同時に企業側が抱える懸念や問題点が迅速に把握・解決されることを目指しています。
ネットワーク会合として,局長級の「本会合」を年1回程度,本会合の補佐組織である課長級の「幹事会」を不定期に開催しています。危険情報や企業の取り組み事例の共有、企業が抱える懸念や問題点の把握・解決などを目指します。安全対策を考える上では、必要に応じてネットワークにコンタクトをとり、情報交換や相談を行いながら、具体的な対策を練っていくといいでしょう。
2.参加組織・機関
エンジニアリング協会,海外建設協会,海外コンサルタンツ協会(ECFA),海外邦人安全協会,外務省,金融庁,経済産業省,経済同友会,国際協力機構(JICA),国際協力銀行(JBIC),国際交流基金,商工組合中央金庫,全国銀行協会,全国商工会連合会,全国信用金庫協会,全国信用組合中央協会,全国知事会,全国中小企業団体中央会,中小企業基盤整備機構,中小企業庁,日本機械輸出組合,日本経済団体連合会,日本在外企業協会,日本商工会議所,日本政策金融公庫,日本損害保険協会,日本貿易会,日本貿易振興機構(JETRO),日本貿易保険(NEXI),日本旅行業協会
ネットワーク会合が毎年開催されており、この会合にて色々な取り組みが決められているようです。是非、参考にしてみてください。
中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/network.html
海外赴任者と福利厚生の変化を考察する!(海外引越よもやま話)
2019.12.24
時代の変化に悩む人事担当者が増加
従来、海外赴任者に対する福利厚生制度は、主に日本食の海外発送や医療面での支援に限られてきた企業が多いように思います。また、海外赴任対象となる社員の若年齢化や渡航国の変化により、大きな転換期にきているように感じます。
なぜなら、海外赴任を断る社員の増加、従来の福利厚生制度の利用率低下が見受けられ、現状の福利厚生、支援体制に満足していないと考えられます。
過去には海外赴任は出世ルートと考えられた時代もあり、多少のリスクがあっても見返りがあると考え、赴任してい人もいたいように思えます。
しかし、昨今の多くの会社では、海外赴任を現地管理者としての期待よりも、「国内転勤」と何ら変わらない感覚の企業がが増えているように思えます。
この現状ですと、赴任者候補もリスクを冒してまで海外に赴任する人が減少傾向にあるのも頷けます。
近年の優秀な人材になればなるほど、これのリスク意識が高く、将来を考えると、赴任を回避する傾向が見受けられます。赴任するよりも、日本である程度の地位を築こうと考えているようです。
そのため、従来の会社方針では、上手くいかなくなってきていると感じている人事のご担当者様も増えいるのではないかと思われます。
このように考えると、会社としては、「いかに赴任者を支援し、会社のために海外で頑張って働いてもらうか」という視点に立つ時期に来ていると言えます。
そこで、キーとなるのが従来の海外発送や医療面にフォーカスした福利厚生から脱した、赴任者向けの福利厚生制度の充実です。この新たな赴任者向けの新たな福利厚生の整備の駆逐こそが、今赴任者を持つ企業にとって急務であると言えます。
ストレスフルの海外赴任を楽しむためのストレス発散の極意!(海外引越よもやま話)
2019.12.21
ここでは、私の海外赴任経験を踏まて、海外生活でストレスが溜まりやすいポイントとその解決策をお伝えしたいと思います。海外引越会社として、多くの海外拠点のスタッフがどのようにストレスを解消してきたのかも教えちゃいます!
①日本で手に入るものが手に入らない
これは諦めるしかないのですが、服、食器、家財、家電、日用雑貨など、とにかく色、デザインなどで妥協しなければならないことです。近年では、IKEAなどもの進出してデザインなどは洗練されてきたと思われます。しかし、アジア圏は注意が必要です。とにかくデザインや色が合わないところがあるはずです。欲しい色が無いなどは日常茶飯事です。日本の無印良品なども参入している国もありますが、如何せん値段が高いです。旅行ならまだしも、長く赴任となると無駄遣いはできません。そうするとどうしても妥協が必要になります。これはある程度は潔く諦めが肝心!
②食べたいもが安く食べられない
特に和食。現地で食べると高いです。それを毎日食べることは無理です。個人的には旨いラーメンを無性に食べたくなりました。しかし、日本で食べるクオリティはかなえてもらえません。まぁ、許せるかなと言う感じ。低コストでいつでも好きな時に食べれる日本の環境のようにはいきません。私はそば好きなので、そばも定期的に食べたくなりまさした。
③言葉はわからず詳細な点を伝えられない
これは仕事でもそうなのですが、英語にしても現地語のしても、母国語のように使いこなせないで、本当に言いたいことを言えない。「これは本当にストレスです」「ちょっと、違うけど、しょうがないか」など、妥協して伝えるコミュニケーション。これが積もり積もれば大きなストレス間違いなし!
④理髪店、美容室の腕前
日本人がいる店に行けばいいのですが、私も近くに日本人がいる店がないので、住居の近くの理髪店に仕方なく通っていました。また、これが上手くないです。写真を見せても微妙に違うし、直ぐにバリカンを使いたがるなど、思うようにいきません。まぁ、かなりのこだわりにが無い限り、日本のクオリティは諦めてください。ない袖は振れぬということで!
⑤空気が汚い
特に東南アジア界隈は注意が必要です。渋滞の影響かもしれませんが、喉が痛くなります。空気が汚れているため、現地の人は出勤時にマスクをしている人も多いです。日本にいるとあまり意識することはありませんが、海外の空気が汚いものだと思って赴任してください。とくにバイクは注意してくださいね。
⑥衛生環境が良くない
まぁ、これは仕方がないのかもしれませんが、ゴキブリは覚悟しておいてください。もちろん住居にもよりますが、特にレジデンスの近くに飲食がある住居や1階が飲食のマンションは注意してください。国によっては、定期的に駆除のための殺虫剤を散布しているところもあるようですが、路上や住まいで出ることは覚悟しておいてください。国によってですがゴキブリが逃げない。人を怖がらないこともあるので注意が必要です。また、屋台などで食事をするときも、どのような水で暑気ななどを洗っているか不明なので、フォークやスプーンを拭く除菌シートを持参すると良いでしょう。
⑦インターネットが遅い
これも海外あるあるかもしれませんね。特に東南アジア圏では雨の日や風の強い日など、ネットが極めて遅くなることがあります。その際に日本とのTV会議などをやると悲惨なことになります。
最近はだいぶ良くなってきたように思いますが、ネットが遅いことは覚悟しておいてください。自分も相手も理解しておく、理解してもらうことが大切です。
いろいろあるけど体を動かそう
正直、なれるまでかなりストレスがあります。慣れてもストレスが無くなることはないでしょう。わが社グループのスタッフの多くはストレス発散に行っていることは運動が多いようです。例えば、海外側でフットサルのチームや、ラグビーチームに参加しているスタッフが多いように思います。私の場合は、走る、筋トレする、スポーツするなど。無理くりにでもスケジュールに入れて実行していました。時には「クソ野郎」と叫びながら、サンドバッグを殴るとことも幾度や・・・。
どちらにしても、運動することがキーのようですね。実際に運動と心の関係はあるようですね。以下、興味があれば読んでください!(*´Д`)
「心を強くする」には運動が欠かせないワうつ病の治療と予防には定期的な運動が効く
赴任者のメンタルヘルスを甘く見てはいけない(海外よもやま話)
2019.12.21
酷い場合は自殺する人もいる!?
赴任者を送り出す。会社側の立場として気をつけなければならないことがあります。
それは、赴任者のメンタルヘルスです。
会社としては、若手を抜擢し経験を積ませようと考えるものですが、昔と今の社員は異なります。
国のため、会社のためと猛烈に働いた昭和の社員と現代の社員は異なります。
さらにゆとり世代では、教育方針も異なっているため、物事に対するプレッシャーや受け止め方も違うはずです。
意識する必要があるのは、根性論や精神論ではついてこないということです。
環境が変われば、考え方も異なる。その辺を十分に理解し、対応を考えて送り出す必要があります。
海外赴任者になると友達も少なくなります。そのため、相談する相手もいない状況に陥ります。
近頃は、飲みにケーションが嫌われる時代です。そのため、仕事が終わると直ぐに帰宅する人が大半です。
また、近年のSNSでのコミュニケーションが発達により、Face to Faceのコミュニケーションの機会が少なくなっています。
これが海外になると更に現実世界でのコミュニケーションを取る機会が格段に減り、自分だけの世界に陥りやすくなります。
会社としても、日本の上司なども定期的に接触を持つ必要があるかもしれません。
特に赴任者が少ない国に送り出す場合、プライベートでもあまり社交的でない、自分自身でストレスコントロールができない人にはあまりお勧めできないです。
実際に海外出張の間に自殺してしまった人もいます。
海外ですと、日本人と同じ志やモチベーションで仕事をする人は極めて少ないです。
それを外国人に求めてしまうと、現実とギャップなどにより、過度のストレスを溜めることになりかねません。
<海外出張中の自殺 両親に解決金500万円で和解>
御社の社員が以下のようなニュースになるのは悲しすぎませんか・・・。
海外赴任者の引越し準備は何をすればよいのか!?(海外引越よもやま話)
2019.12.20
海外引越しとは何ぞや!?
海外赴任について、その手配に携わる人事・労務関連の部署の方は、規程や処遇、費用については精通しています。しかし、実際に海外赴任をしたという赴任者は少ないようです。そのため、赴任者の引越しについては会社の手配などはできますが、実際に必要な準備事項などについては、引越し会社に任せきりのようです。
そこで、今回は赴任者がどのような海外引越しの準備をすればよいのかについてお伝えしてきます。これか赴任される方にも役立ちますし、人事・労務の担当者様にとっても有益に情報だと思います。
是非、ご参考にしていただければ幸いです。( ゚Д゚)
国内と比べてどのような点に注意すべきか
まず、押さえておきたいのは海外引越しと国内引越しが異なることです。実際に経験のある方であれば、知っていることですが、初めての方の場合は、手間なども含め、違いに困惑する可能性があります。そこでまず、国内引越と海外引越しについてお伝えします。
1.海外引越の特徴を知ろう!
海外引越は単に荷物の移動ではなく、輸出入表無であるため、送り先の国によって通関の規則や通関所要日数が異なります。よって、海外引越に慣れた業者に依頼されることをお勧めします。また、作業をスムーズに進めるため、赴任が決まれば、すぐに海外引越業者に連絡をし、それ以降は全て赴任者と引っ越し業者との間で作業を進め、人事総務担当者は、引っ越し業者に見積金額、今後の作業予定について逐次報告を受ける形にするのが良いでしょう。引越に当たっての留意点を以下になります。
2.荷物の仕分けに時間が掛かるので要注意!
引っ越しを進めるうえで最も時間がかかるのは、何を海外に送るかの仕分けです。なぜなら、規定量や上限費用などが会社に定められており、全ての家財を赴任先に持っていくことができないからです。もし、自分で減らすことができないようでしたら、海外引越し会社に聞いてみると、減らした方がよい家財のアドバイスも貰えるはずです。
また、注意したいのが持っていきたくても持っていけない規制品です。ほとんどの身の回りの家財は特に問題なく送付できますが、赴任先国により送付が不可能の場合もあります。さらに規制されているものが国により多少異なりますので注意が必要です。
今回は一例として上海とベトナムの規制品目を以下に、列挙してみます。自分が赴任する規制品目が必ずありますので、知りたいを場合は、引越し会社に確認を取れば、しっかり教えてくれますので下見時などに確認してみてください。
それでは、今回はここまで!
これから海外赴任される方が「受けておいたほう良い」と思う研修とは!?
2019.12.19
やって欲しかった赴任前研修とは!?
海外赴任者が海外に行ってから後悔することはよくあることです。しかし、駐在してみてはじめてわかることばかりですので、日本にいる時にはわからないことが殆どです。そこで役立つのが、過去の赴任をした人が、「どのような研修があったら良かったか」を知っておくことこです。今回は駐在員の先人たちがどのような赴任前研修を求めていたのかを考察していきます。
これが!海外赴任に際し、赴任者に役立つ研修の実態!
語学研修などの必要性は認識されていても、「海外旅行保険や健康保険の使い方」「海外赴任者規程の内容についての詳細な説明」については、意外とその必要性を認識されていない人事担当者は少なくないようです。
海外赴任の内示が出た際に赴任者に配布できる「海外赴任の手引き」的なマニュアルを作成しておけば、本社の人事担当者も、赴任者が発生した際、そのマニュアルに沿って説明を行うことができますし、赴任後に「そんなことは説明されていなかった」と、赴任者から不満が出ることも減るはず。
また、既にマニュアルを作成されている企業においても、その内容が本当に赴任者にとって理解しやすい内容か、必要な事項の棋士が洩れていないかなど、赴任者の視点に立って逐次見直しをする必要もあるかもしれません。
赴任者からの声
筆者は業務上、様々な企業の海外赴任者・赴任経験者にインタビューやアンケートを行う機会が多いのですが、その際に赴任者・赴任経験者から「受けておけばよかった」という声が多い研修や、その声を以下にまとめてみました。
参考にしていただければ幸いです ( ^)o(^ )
海外赴任者、赴任者赴任経験者が語る「受けておけばよかった赴任前研修」 |
①赴任地の労働法に関する研修 |
海外赴任すれば、ほとんどの赴任者は管理職となり、ナショナルスタッフを育成・管理する必要がある。その際、現地の労働法に関する知識は不可欠。現地に行ってからでも情報は集められるが、体系的な知識を得られる機会は少ない。ナショナルスタッフの採用及び解雇などについて必ず知っておかなければならない知識など、赴任前に理解しておけば、もっと自信を持ってマネジメントできるし、無知から生じる様々なトラブルを防ぐことができる。 |
②現地生活事情に関する研修 |
本社は「現地事情は日本ではわからないから」ということで、 赴任前に特に情報を提供してくれることはなかった。「必要なことは個別に現地に問い合わせるように」と言われても、現地の赴任者とは面識もないし聞きづらい。赴任予定者が現地の生活状況などについて把握できるように本社が現地赴任者と赴任予定者の間に入って、直接意見を聞ける機会などを作るなど配慮してほしい。 (また、前任者がいない場所での赴任に際しては、情報収集がより困難であるため、帯同家族を含めた現地下見などは必須) |
③人事評価など、管理職として必要な知識に関する研修 |
日本では非管理職でも、現地では管理職というケースがほとんど。しかしいきなり海外で管理職になっても、どのように人材を育成したらよいのかわからないし、ましてや人事評価の仕方もわからない。こういったことは実際に経験しないとわからないことだが、「人事評価の仕方」など、前もって初歩的なことだけでも教えてほしかった。 |
④海外旅行保険の使い方、健康保険の海外療養費請求の仕方 |
赴任前に「海外旅行保険に加入していること」及び「海外での医療費を日本の健康保険に請求することができること」は聞いていたが、具体的な請求方法などの説明がなかったため、医療機関を利用した際、間違って保険証券を返却してもらい損ねたり、保険の番号がわからなかったため、一旦自費で高額な医療費を支払う羽目になったり、いろいろとトラブルがあった。また、健康保険への具体的な請求の仕方の説明も受けていないし、マニュアルもないので、その都度本社に問い合わせるなど、余分な時間と手間がかかる。 |
⑤海外赴任者の処遇に対する研修 |
「海外赴任者規程に必要なことが書いてあるから」と規定は配布されていたが、具体的な説明を受けていないし、自分は人事的な知識もないため、規定の内容も実はよく理解できていない。日本にいないのに、給与明細では「みなし所得税、住民税」などが控除されているが、なぜ控除されているのか意味が分からない。事前に処遇について、もっと具体的に説明してもらう機会が欲しかった。 |
【注意!】赴任者がやらなければならない税務上の手続き(海外引越よもやま話)
2019.12.18
知ってお損なし!赴任者の税務手続き
もし、持ち家があったり、住宅借入金等特別控除などの適用を受けていたりすると赴任前に手続きをする必要があるんです。
今日は、赴任者が赴任前に行うべき税務上の手続きについてお話しますね。(#^.^#)
海外赴任にあたり赴任者が行う税務上の手続き
1.必要に応じて行うべき事項
海外赴任者に持ち家があり、住宅借入金等特別控除などの適用を受けていたり、赴任中も国内源泉所得(※)が発生するなど確定申告が必要な場合、【図14】のような作業が必要になります。
いずれも会社が直接関与しなければならないことではありませんが、本人は赴任準備で忙しく、忘れているケースもあるので、人事担当者から赴任者に対して情報提供しておくとよいでしょう。
(※)海外赴任者に関して生じる国内源泉所得としては、自宅を貸して生じる賃貸所得、自宅を譲渡して生じる譲渡所得、国内の株式の配当に対する配当所得などが考えられます。
駐在員の年末調整はいかに?(海外人事労務情報)
2019.12.17
社員を海外に赴任させるにあたり、税務上、行っておくべき事項について
赴任者の対応に携わる人事、総務、労務を担当している方であれば、ご存じかもしれませんが、特に担当者がいない小さい会社の場合、駐在員の税務上の処理についてお伝えします。
1年以上の予定で日本を離れ、海外に居住する方について、出国までに年末調整を行っておく必要があります。
年の取勇で出国した場合、年末調整の対象となる給与は、出国する日までの給与です。
なお、社会保険料や生命保険料などの控除は、出国する日までに支払われたものだけに限られます。
【図表13】年末調整の対象となる所得控除(*1)
(*1)医療費控除、雑損控除、寄付金控除(特定団体に1万円以上寄付した場合)の適用を受ける場合、年末調整ではこれらについては、計算の対象にしていないので、各自で確定申告を行う必要がある。
知っていますか!?海外赴任時の日本の労災保険の給付が受けられる制度がある?(海外引越よもやま話)
2019.12.16
海外赴任時の日本の労災保険の給付が受けられる制度について
私自身も海外赴任するまで日本の労災保険給付が受けられるとは知りませんでした!
そこで今回は労災保険の海外派遣者特別加入制度について考察してみます!
1.労災保険の海外派遣者特別加入制度とは
~現地採用者や留学する場合は対象外~
労災保険は、日本国内で行われる事業のみを対象としていますが、海外で行われる事業に従事する場合、【図表12】に該当する方に限り特別加入が認められています。(労災保険法第33条第6号、7号)
また、特別加入に当たっては、新たに海外に赴任する方に限らず、既に海外に勤務している方についても加入することができます。ただし、現地採用の方は、日本国内の事業から派遣されていないことから、特別加入することはできません。(また、単なる留学を目的とした派遣の場合も、特別加入の対象外となります。)
通常、海外赴任者は、勤務地国の災害補償制度の対象となりますが、勤務地国の労災保険制度の適用範囲や旧f内容が必ずしも十分でない場合もあるため、海外で勤務する方(海外の事業に出向や派遣で働く者)についても労災保険の給付が受けられる制度として「海外派遣者特別加入制度」が存在します。
今日はこれで決まり!( ゚Д゚)
赴任者必見!社会保障協定の適用手続きって何?
2019.12.14
日本と社会保障協定が発効している国に赴任する場合は、赴任地の年金制度について考える
海外赴任でもしないと、年季保険料などの二重払いなどを心配する必要はありませんよね。通常、赴任先で勤務した場合に、その国保険制度に加入することになっています。そうすると、日本と海外で二重で保険料を取られる恐れが出てきます。そこで、赴任者の二重加入をどのように防止するのかについて考えていきたいと思います。
1.社会保障協定締結の背景は?
~年金保険料の二重払いによる企業負担の増加、勤務地国での年金保険料の掛け捨て~
社会保障協定とは、相手国に勤務した会社などの 社会保険料の二重払いを防ぐことを目的としたものです。そもそも公的年金などの社会保険制度は、現在居住している国の制度に加入することが原則となっています。
しかし通常、企業からの命令で海外赴任する場合、赴任中も出向元である日本本社との雇用関係が継続しているため、その間、 日本と勤務地国の両国の社会保険制度に加入しているのが現状です(いわゆる「保険料の二重払い」)。そして多くの場合、勤勤務地国での社会保険料の負担は海外勤務者本人ではなく、海外勤務者を送り出した日本本社が全額負担しています。
さらに、年金を受給するには、ある一定期間以上の加入期間が必要なため、数年程度で日本に帰国するケースが多い海外赴任者については、勤務地国での保険料は結果的に掛け捨て(いわゆる「保険料の掛け捨て」)になるケースがほとんどでした。
2.社会保障協定の概要
上記のような状況を解決するため、年金制度の二重加入の防止や、年金加入期間を両国間で通算し、年金の掛け捨てを防止しようとする二国間での協定が、社会保障協定と呼ばれるものです。
(1)二重加入の防止
~日本国または外国の社会保険制度のどちらか一方にのみ加入~
社会保障協定が発効している国に赴任する場合で、相手国(つまり赴任先)の赴任期間が5年以内と予定される場合は、日本の社会保険制度のみに加入し、相手国での加入が免除となります。一方、相手国での赴任期間が当初から5年を超えると見込まれる場合は、日本の社会保険制度をだったし、相手国の制度に加入することになります。
このように、どちらか一方の国の制度の身に加入することで、日本と賦任意の両方の社会保険料を負担する必要(いわゆる「二重加入」)がなくなったといえます。
(2)年金加入期間の通算措置
~自国(相手国)の年金加入に必要な期間が足りない場合は相手国(自国)の年金制度加入期間を足すことができる~
年金加入期間の通算とは、一方の国の年金制度の加入期間の身では、その国の年金受給資格を満たさない場合に、社会保障協定相手国の年金制度の加入期間を、一方の国の受給資格期間に足す(いわゆる通算する)ことができる制度です。
たとえば外国の年金受給資格を得るために必要な年金加入が10年(正確には40クレジット)ですが、米国での赴任期間が6年のAさんは米国年金受給に必要な期間に満たないため、本来であれば米国年金を受け取れません。しかし日米社会保障協定においては「年金加入期間の通算措置」が盛り込まれているため、米国での年金受給に必要な期間が足りない場合、日本で勤務していた期間を通算することができます。
ただし、あくまで米国からは加入していた期間(6年間)に応じた米国年金が受け取れるということであり、36年分の年金をアメリカから受け取れるというわけではありません。(通算した加入期間(この場合36年)分の年金をどちらか一方の国からまとめて受け取ることができる仕組みにはなっていません。)
つまりAさんは、日本から30年分の日本の年金を、米国から6年分の年金を受け取ることになります。
これらを知ることで二重加入の恐れも回避できますし、社会保障協定がある国では、通算措置できることも確認できました。これでもう安心して赴任できるかと思います。
今回はここまで!