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海外で生活する前に知っておきたかったコト!Overseas Tips

赴任者

【連載】失敗から学ぶ海外人事(第7話 海外駐在員 帰国したらただの人)

2019.04.22

 

 

 

 

第 7話 海外駐在員 帰国したらただの人

海外での勤務は、本当に苦労が多いですが、日本での仕事と比べて裁量の範囲が広く「やりがい」を感じること も多々あります。日本の本社からすると、海外駐在員は事業所を動かすキーマンですから、何かと脚光を浴びることが多いのです。

 

 

日本では、「実務実行者」だった人が、海外事業所では「経営者」であったり、「管理者」としてのスキルが要求されます。 でも、現地には経営の「いろは」を懇切丁寧に指導してくれる人は、殆どいません。

 

海外事業所に派遣された平社員の私は、突然、社内のスターとなって発信する情報や決定したことが、いろいろ取沙汰されるようになったのです。本社では、私しか頼る者がいませんから、ヘソを曲げないように凄く気を使ってくれていたのです。

 

 

若気の至りで、いい気になってしまった私は、帰任してからやっと夢から冷めたのでした。同時に、日本での仕事に生きがいを感じなくなってしまいました。多くの企業で、同様のことが起こっている と思います。

 

今回は、帰任後の元海外駐在員の活用を考えてみたいと思います。

 

 

メキシコ工場での任期が終了したのは、 2001 年 9 月のことでした。私は、家族と共に飛行機に乗って、帰国の途についていました。海外での仕事や生活について、ほとんど勉強もせず赴任して、マネージメントの難しさなど全く意識せず、 5 年間バタバタと目の前にある問題に対応するだけの駐在生活でした。

 

「あ~ぁ、やっと終わったな・・日本に帰ろう。メキシコ工場での経験を、日本での仕事に活かして、がんばろう!」

 

それが、大きな幻想だったことに気が付くのに、そんなに長い時間は必要ありませんでした。

 

【駐在中に得たものは?】

 

私の海外駐在中の仕事のやり方は、兎に角、即断即決で行動力を発揮するという原則に基づいていました。

 

 

大勢の外国人を自分の管理下に置いて、まごまごしていたら、その時点で「甘く見られて」統制がとれなくなってしまいます。毎日の準備が重要で、間違った指示を出さないように細心の注意を払わなければなりません。

 

回答を保留したり、判断を間違ったりすると、数時間後には現場が混乱してしまうリスクが高まります。なぜなら、的確な指示が来ないと、現地スタッフは自分の裁量で仕事をしてしまうことが多いからです。

 

 

「あっ、それは本社に訊いてからじゃないと分からないから、ちょっと待ってね」

 

 

そんなこと言うと、「何も決められない立場の人」として、部下に対する統制力を失うのです。現地スタッフは、いつも「すぐに決めてくれる 人」を探しているのです。

 

極端な話のように聞こえるかもしれませんが、多くの日本人駐在員が現地で直面する困難は、「待ったなし」の状況に毎日のように追い込まれることなのです。

 

今にして思えば、多くの海外駐在員の皆さんが経験しているように、 1 日 24 時間、 1 週間 7 日、 1 年 365 日、ずっと仕事のことばかり気になっていて、心の休まる時がほとんどない生活でした。

 

 

国や地域によって、レベルは違っていますが、海外のオペレーションでは「事態即応能力」が、非常に重要です。海外駐在員が駐在中に習得するスキルは、語学や異文化理解といったアカデミックな領域があります。しかし、この「事態即応能力」が海外事業所の現場では、最も重要且つ有益なスキルなのです。

 

「事態即応能力」は、とても聞こえがいいですが、実は日本人がとても苦手な「リスクをとる」ということが要求される、肝試しのようなものです。

 

 

私は、日本の同僚達が「社内交渉スキル」を伸ばしている間、この「事態即応能力」という、日本の組織には馴染みにくいスキルを経験的に学んでいたのでした。

 

 

【すぐには何も決まらない組織】

 

私は、帰国後の配属先でも、海外勤務時の「流儀」で仕事をしようとしました。上司には
自分の意見をはっきり述べ、周囲には言いたいことを言い、決裁を急ぎ、即行動する・・・・。

 

でも、ある日、気が付いたのです。「俺、浮いちゃってるな・・・」

 

日本企業は、物事を決定するまでに、相当の時間をかけて熟考するのが一般的です。そして、担当者→課長→部長→役員といった具合に、案件が上程されていって、最終的には「会社ぐるみ」で納得しないと、何も起こらないのです。

 

 

動きが遅い一方で、時間をかけて慎重に議論することによって、さまざまな問題点が精査され、事前に対策が準備され、全社のレベルが統一され、妥当な結論が出てくるのです。ある意味では、それが日本企業の屋台骨を支える仕組みになっていると思います。

 

日本の同僚達は、会議資料や役員資料の作成、社内交渉の進め方、打合せ・会議の進行、社内の情報展開、といったスキルを叩きこまれ、社内人脈の中で仕事することを学んでいたのです。それは、政治といっても良いかもしれません。

 

 

そういう組織の中では、私が海外勤務中に習得した「仕場面はありませんでした。私の仕事の仕方は、日本では「着」で、「思慮が浅い」と受け取られていたのでした。

 

 

 

【ただの人は、とても退屈】

 

メキシコ工場で重要人物だった私は、組織の底辺にいる「ただの人」に戻っていたのです。「ただの人」としての仕事は、とても退屈でした。日本の本社には、海外で習得したスキルを活かす職場は、どこにもありませんでした。

 

 

それどころか、「扱いにくい生意気な奴」という位置づけになってしまうのです。これは、若年層の海外駐在員に起こる傾向があるようです。

 

 

私は、ある時期から自分の意見は言わずに、可能な限り大人しく仕事をするようになりました。その方が、周囲との摩擦が少なくて安全だからです。

 

 

 

【人材をムダにしていませんか?】

海外事業所でさまざまな経験をし、現地でのマネージメント経験のある「元海外駐在員」を帰任後に活用出来ている企業は非常に少ないと言われています。

 

ビジネス雑誌等では「グローバル人材育成」が、頻繁に取沙汰されています。グローバル人材育成の手始めに、「元海外駐在員」を十分に活用できていない理由を、深く洞察することは、とても有益かもしれませんね。

 

 

海外駐在員が赴任から帰任までの期間、どのくらいの経費が掛かっているか、試算してみることをお勧め致します。

 

国内勤務以上に支払う海外給与、グロスアップした会社負担の所得税、 社会保険料、引越費用、住居手当、配偶者手当、子女教育手当、赴任・帰任時支度金、語学研修、赴任前研修、渡航・帰国航空券、社有車経費、一時帰国費用、などなど、莫大な費用が掛かってますよね?

 

 

海外駐在員は、海外事業所の経営を担う一方で、「海外事業のマネージメントを経験的に習得した人」という、会社にとって貴重な人的財産と捉えることも重要です。そして、その経験は、会社の莫大な投資によって得られたものなのです。

 

 

とんがった態度をとったり、はっきりものを言ったりする彼らを活用するのは、とても骨が折れますよね。逆に、 周囲との摩擦を嫌がって、海外での経験を胸の内にしまいこんで、目立たない様に大人しくしている人がいるかもしれません。

 

でも、グローバル化が急速に進行していると言われている日本で、彼らの経験は、会社にとって頼もしい戦力になるかもしれないのです。

 

次回は、「海外勤務者の給与」について、考えてみたいと思います。

 

 

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<筆者紹介>

海外生活株式会社

海外危機管理コンサルタント 山本 優

10年の海外勤務、帰国後の海外人事の経験をもとに、海外勤務の諸問題をクライアントの皆様と一緒になって考える、海外人事支援コンサルタント。

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【連載】失敗から学ぶ海外人事(第 6 話 現地スタッフ 就労の動機を知る!)

2019.04.15

 

 

第 6 話 現地スタッフ 就労の動機を知る!

現地スタッフの定期的な契約更新の日。ほんとに、憂鬱ですよね。現地従業員の契約更新を、日本人駐在員が実施している会社は、結構多いと聞いています。

業績を正しく評価して、本人を納得させて、なるべく人件費を低く抑えたい・・・でも、なかなか納得してくれないし、時間かかるし、相手によっては険悪な雰囲気になりますよね。

 

そもそも、労務管理の勉強など、赴任前にして行く人は殆どいないのが実情です。契約更新は、単に業績を評価するだけではないのです。それによって、その人の年収が決定されます。労務管理の「いろは」を知らない人が、何も知らないまま思い込みだけで評価・査定すると、例外なく、とんでもないことになりますね。

 

私も、その「いろは」を知らないうちの 1 人だったと思います。案の定、大失敗をしてしまいました。どうぞ、じっくりとお読みください。日系企業の海外事業体の組織には、大きく二通りの形態があると言われています。一つは、日本人駐在員をラインに置くやり方。

 

もう一つは、日本人駐在員をオフラインに置いて、「コーディネーター」という「黒子」として活動させるやり方。どちらも一長一短があります。

 

私が勤務していたメキシコ工場では、駐在員はラインに入って、直接の権限と責任を持ったマネージャーとして運営にあたっていました。

 

つまり、矢面に立つ立場にいたということなのです。当然、部下の現地スタッフ達の契約更新は、私たち駐在員がやることになっていました。

 

【初めての契約更新】

「はぁ?契約更新?俺たちがやるんか?そんなの、やったことねぇぞ。」最初、聞いた時は全員がそう思いました。だって、今まで評価されたことはあっても、評価したことなど無かったんですから!
たとえ業績を正しく評価できたとしても、昇給の人事的なスキルなど、知識も経験もなかったのです。そもそも、自分達の給料でさえ、どのように決められているのか、よく知らな いレベルでしたからね。日本の会社の社員は、そういう人が多いのです。

 

目標管理的な手法があったとしても、それがそのまま給与に 100%反映されているなんて、だれも信じてはいないのが、私たち「普通のニッポンのサラリーマン」なのです。本音を言えば、上司がなんとなく部下達の働きぶりを観察していて、それらが「総合的」に判断されているという、暗黙の了解があるような気がしているのです。

大概の日本人駐在員は、そういう「にっぽんの会社!」のやり方しか知らずに、赴任地に赴くのです。

 

【契約更新は、バトルフィールド!】

初めての現地スタッフの業績評価。来年度のサラリーを決めて、合意しなければなりません。私は、意外とリラックスした気分でした。実際の昇給は、目標数値の達成だけではなく、そのプロセス(つまり、取組む態度)も加味するので、数値達成度に拘るつもりはまるでなかったのです。ところが、どっこい!そうは問屋が卸してはくれなかったんですわぁ。

 

部下 A:「私は、残業も嫌がらずに対応したし、日本のやり方を良く学んでスキルもアップしたはずだから、ここの点数評価が低すぎます。もっと、良い点数がつくはず!」

部下 B:「僕はデータ処理については良い働きをしたはず!もっと、高い点数だ!」

部下 C:「私はこの地域でのバイヤーとしては 30 年のベテランだ。なんだ、この低い点数は?もっと、キャリアとスキルを加味した評価ができないのか?」

つまり、私の付けた点数が低すぎると、皆さん、たいそうご立腹だったようです。

 

【何を根拠に評価したのか?】

私の付けた点数は、アメリカ現法の評価シートをそのまま流用した評価方法でした。人事制度に無知な私は、メキシコでも適用可能だと勝手に思い込んでいたのです。

 

歴史の長いアメリカ現法では、アメリカ人の経験豊かな人事マネージャーが人事制度を設計し、長期に渡って運用していました。評価シートは、賃金制度・等級制度等を元に設定されたもので、アメリカの従業員には一定の公平性が担保されたものでした。

 

しかし、メキシコ人スタッフにとっては、その評価シートは、「得体の知れない」ものだったのです。メキシコ工場には賃金制度はありましたが、地域の実情に合った給与テーブルや等級スペックは整備されていませんでした。

私と部下達の目の前に立ちはだかっていたのは、「賃金決定の基準が曖昧」という致命的な、人事制度上の欠陥でした。

 

【魔のサラリー更改】

そんなことはどこ吹く風?と、なんとか、彼らを力づくで説き伏せた後、いよいよ契約更新の為の昇給の話です。ほんとに、揉めますよね。予算は決まっていますから、絶対評価に基づく昇給ではなくて、人件費予算の配分ですからね。高い評価点を取ったからといって、期待通りの昇給が獲得できるとは限らないのです。

 

みんなあの手この手で、少しでも高い昇給を獲得しようと必死です。

「子供が来年から学校に通うんだ」「今年、結婚するんです。」「年老いた母が病気で・・・」「大家が家賃の値上げを言ってきた」「通勤の為の車の修理で、借金が出来てしまった」・・・。

ほんとに、テレビのコントみたいな対話だったと思いますね。

それでも、力づくで了承させて、初回の契約更新は終了したのです。初年度の工場立上を一緒になってやってくれた人達だから、大奮発して、平均昇給率 4%の大盤振る舞い!

と、私は、清々しい気分に浸っていたのです。

でも、人事制度の知識が欠如していた私は、「インフレ率」という重要な要素をまったく知らなかったのです。そのことの不具合を、後になって思い知らされたのです。

 

【生存競争の最前線だった契約更新】

私が赴任した当時(1997 頃)、メキシコでは急速なインフレが大きな社会問題となっていました。地域によって差はありましたが、メキシコ政府の公式発表では、年率 17%~20%のインフレだったと記憶しています。別の統計では、 22%の上昇が報じられていました。

 

今はどういう状況かは知りませんが、私がいた当時は家賃や食料品等が、目に見える状態で値上がりしていました。先週と同じ値段では、物が買えないということ が実際にあったのです。

 

つまり、私が行った契約更新は、部下達にとっては実質賃金の大幅な目減りという、とても残念な結果だったのです。後で知ったことですが、同じ工業団地で操業する他社の中には、 インフレ率の補正分を昇給率に織り込んで処遇した企業もあったそうです。

 

私が行なった評価結果は、現地の労働市場では、お話にならないくらい競争力が無かったのでした。

 

部下の皆さんが激怒するのも、無理もありません。大盤振る舞いのように晴れやかに微笑みながら、「君には、 4%あげるよ!」なんて言っていたのですから、おめでたい話ですよね。

 

【相次ぐ退職、戦力の低下】

契約更新から 2 か月程してから、主力のマネージャーやスーパーバイザーの退職が散見されるようになりました。彼らは、契約更新の直後から転職先を探していたのです。

 

補充はしますが、大幅な戦力ダウンに苛まれ、事業所としての能力はなかなか向上しませんでした。
退職の理由は、「現在の生活水準を維持するためには、より条件の良い企業に転職するしかない。」ということ が多かったと記憶しています。

私がやったことは、「業績評価の明確な標準を提示することなく、人事考課を行い」、そして「経済情勢や近隣の相場を調査することなく、給料を決定した」ということでした。

 

今では、必死で世の中を生き抜こうとしている人達に対して、とるべき態度ではなかったと反省しています。工場操業開始から4年経過した頃、工場長に海外工場運営のプロフェッショナルが就任しました。彼が一番最初に着手したのは、人事制度の改善でした。彼が行なった改善後には、マネージャーやスーパーバイザーの離職率は大幅に改善されたと聞いています。

経営者として、人事制度の重要性を深く理解していた人でした。

 

【就労の動機が違う!】

先進国と途上国では、一体何が一番違っているのでしょうか?

それは、経済発展のレベルです。そのことが直接的に、所得水準、医療水準、犯罪発生率、インフラ整備状況などの、生きるということの品質に大きく影響しているのです。

欧米や日本のような先進国では、企業で働く動機として、キャリア形成や専門性のアップ、将来性などと言った美辞麗句が、ある程度通用するようですね。チャンスは多くの人達に対して、ワイドオープンであるべきだと思われています。

しかし、途上国では、所得格差が驚くほど大きいのです。そもそも、裕福な家の人達しか高等教育を受けることができず、 貧困層の人々は優良企業に職を見つけることに大きな困難が伴います。運良く就職できたとしても、自分の生活の補償は、自分自身で獲得していかなければならないのです。

 

また、生活環境の厳しい国々では、先進国のようには社会保障制度が整備されていない場合が多く、少しでも 多くキャッシュを稼ぐことが最重要課題なのです。オーバーな言い方をすれば、職場は生存を賭けた闘いの場なのです。

日本人とは就労の動機が違っている人達を、問題なきように統制・管理するには、日本とは違う労務管理の知恵とノウハウが必要です。近年、海外事業所の労務管理をコンサルティングするサービスが、多くの企業に活用されているそうです。

 

あなたの会社の海外事業所では、地域の実情の合った人事制度が整備されているでしょうか?また、業績評価の明確な標準があって、現地従業員が納得し易い評価が出来ているでしょうか?

労務問題は、日本人駐在員には見えない場所で増殖し、ある日突然、爆音と共に顕在化するのです。

 

今、海外事業所の事務所で仕事中のあなた、窓の外を見てください。「待遇改善」の横断幕やプラカードを掲げた多くの従業員が、抗議行動しているのが視えませんか?あなたのオフィスに、血相変えて押し寄せて来るかも知れません。

次回は、「帰任後の人材活用」について考えてみたいと思います。

 

 

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<筆者紹介>

海外生活株式会社

海外危機管理コンサルタント 山本 優

10年の海外勤務、帰国後の海外人事の経験をもとに、海外勤務の諸問題をクライアントの皆様と一緒になって考える、海外人事支援コンサルタント。

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【連載】失敗から学ぶ海外人事(第 5 話 異文化の向こう側 )

2019.04.08

第 5 話 異文化の向こう側

異文化理解といっても、なかなかピンときませんね。セミナー等で先生が文化の定義から話し出すと、とたんに眠くなります。私は海外駐在中には、この異文化とやらにイライラしっぱなしでした。

 

海外事業の最前線にいると、異文化理解などという悠長なこと言ってられない現実がありました。でも、仕事が上手く行かなくなって、やっと異文化理解が大事だなと思うようになるのです。それなら行く前からちゃんと勉強していけばいいのです。

 

って、今になって思う次第です。

 

まさに今、 若い頃の私と同様に、異文化イライラ症候群に罹っている駐在員の皆様に贈る応援歌を、今日のテーマと致します。

 

全世界の駐在員の皆様、キレずに、がんばってこー!

 

ひつこく、メキシコ工場時代のエピソードを一つ。私が人生で最初に遭遇した異文化は、メキシコ人スタッフの「言い訳」の素晴らしいテクニックでした。「あんた、そこまでいうかぁ・・・おっ、次はそうくるかぁ・・・」と、最初はかなりイライラしました。

 

でも、だんだんと慣れてきて、「今度は、どういう言い訳がきけるかな」と、エンジョイするぐらいの感覚になっていました。

 

遅刻だ!連絡しなくても、あたしはだいじょーぶ!

ある日、私の部下の現地マネージャーの女性(以下、 L)が、3時間遅刻してきました。私の顔をみても何も説明に来ず、いつものようにニコニコ笑いながら、普通に仕事に取り掛かろうとしたのです。

 

「またかよぉ・・・」と、かなりイラッ! としながら、彼女を呼びつけて、私「あんた、遅かったね。なんで遅刻したんや?」

 

L「まぁ聞いてください!朝起きたら、冷蔵庫の故障で、中の物が溶けちゃってて、床が水浸しになっていたのぉ」

 

私「ふーん・・それで?」

 

L「その応急処置をしていたので、遅れたのぉ」

私「遅れるなら、電話ぐらいしてきたらどうなんや?」

 

L「私の家には電話がないのよぉ」

 

私「じゃ、公衆電話から出来るやろうが!」

 

L「公衆電話は、 1 キロぐらい離れたとこにしかないのぉ」

 

私「車があるやろうが!」

 

L「私も、そう思って車にのって公衆電話まで行こうとしたら、なんと!車がパンクしていたの!だから、連絡できなかったのよぉ」

 

私「じゃ、 今日はどうやって出勤できたんぢゃ!」

 

L「お隣さんが、タイヤ交換を手伝ってくれたのぉ。今日はラッキーだったわ!」

 

私「つまり、あんたが連絡もなしに三時間も遅刻したのは、あんたにはまったく責任がないって言いたいのかぇ?」

 

 

L「そうなのぉー、とにかく冷蔵庫が壊れちゃってぇー。今日は、午前中を有休にしてもらってもいいですかぁ?」

 

 

・・・最初の頃は、殺意すら覚えましたね。

 

とにかく、何かにつけて謝らないのです。しかし、後になって、彼らがなぜこういう態度をとるのかが、なんとなく分かってきたのです。

 

それを教えてくれたのは、現地採用の若い日本人通訳でした。

 

 

ごめんなさいは、死につながる

通訳の彼が教えてくれたのは、「メキシコでは、上手に言い訳できないような人は、一人前の大人とみなされません」ということでした。彼の説には異論があるかと思いますが、説得力はありました。

 

彼曰く、
「メキシコという国は、その昔、スペインに厳しい統治を受けた時代がありました。その頃のメキシコの人達は、「非を認める」=「厳罰」という図式があって、必死で言い訳する以外に、自分自身や家族、親戚、コミュニティーを守る術がなかったのだそうです。

 

とにかく、命がかかっているのですから、その場限りの嘘でも何でも助かればいいのです。その為、言い訳の技術は高度に発達したのではないかと、僕は思います。

 

みんなの前だと面子もありますから言い訳しますが、周りの目がないところで話すと意外と素直ですよ。」

 

なるほど、そうだったのかと納得して以来、注意を与えるときには、周りに気を配るようにしたのです。そうすれば、意外と真摯に話を聴いてくれる人達でした。(とことん挑戦的な人も、いましたけどね。)

 

【自分の身は、自分で守らなければならない人々】

メキシコの人達以外にも、容易には自分の非を認めたがらない国々はありますよね。過去に他国の厳しい統治を受けた、アジアや中南米の人々も同様です。

 

中国は、文化大革命の頃には粛清の嵐が吹き荒れ、人々は非を認めたら大変な目に遭っていたと言われています。(少し理由は違いますが、欧米先進国にも、自分の非を容易に認めたがらない人が多いようですね。)

 

よくよく観察してみると、それらの国々には一つの共通点があるように思います。それらの国々 では、社会保障が整備されていなかったり、激しい競争があったり、政府が必ずしも国民を守る立場をとらないといったことです。

 

とにかく、生きる為には、自分の身は自分で守らなければならないという、日本の何十倍もシビアな環境があるのです。

 

そんな社会で暮らしている人々にとって、何が一番大事なのでしょうか?

 

それはきっと、自分自身の安全確保です。まず自分自身、自分の家族・親戚・親友、自分が属するコミュニティーという具合に、相互協力の人の繋がりを形成して生きているのです。

 

特に、貧しく生活環境の厳しい国では、この人的繋がりのルールが、 国家の法律より優先される場合があります。そこに社会が腐敗する、原因があるのかもしれません。

 

極論ですが、自分達の繋がりの外にいる人は、死のうがどうなろうが全く気にならない「よそ者」ということになるのです。一方で、相手を自分達のコミュニティーの内部にいる人だと認めたら、とても親切で誠実な対応をする場合が多いのです。

 

 

【異文化の向こう側にある共通点】

コミュニティーは、地縁・血縁や同じ行動様式を持っている人々の間で形成されています。行動様式とは、宗教かもしれないし、イデオロギーかもしれません。何れにせよ、同じ価値観を共有できる人々が集まって、助け合っているのです。

 

それでは、海外駐在員が現地でマネージメントする時に、何を分かっていなければならないのでしょうか?それは、地球上の全ての人が、共通の感情を持っているという確かな事実です。

 

どんなに文化的背景が違っていても、喜怒哀楽という感情は同じです。どの国の人も、喜び、怒り、哀しみ、楽しみという感情をもっています。

 

「どういう物事に、喜怒哀楽が反応するか」が、地域によって違っているだけなのです。現地の人達が、何を喜び、何に怒りを感じ、何を哀しみ、どんなことを楽しいと思うのか・・・。

 

それを分かっていることが、駐在員として必要な異文化理解なのかもしれません。そして、日本人駐在員として、現地の職場や社会で「適切な振る舞い」とはどういうものなのかを、よく知った上でマネージメントすることが、事業所運営の安定に繋がるのです。

 

あなたの会社の海外事業所の駐在員達は、現地の人達のコミュニティーに安心感をあたえているのでしょうか、それとも不安を感じさせる「よそ者」なのでしょうか?とても気になるところです。

 

なぜなら、現地の人達との信頼関係の崩壊は、海外事業所の崩壊に繋がるからです。

 

次回は、「現地スタッフ」との付き合い方について、考えてみたいと思います。

 

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<筆者紹介>

海外生活株式会社

海外危機管理コンサルタント 山本 優

10年の海外勤務、帰国後の海外人事の経験をもとに、海外勤務の諸問題をクライアントの皆様と一緒になって考える、海外人事支援コンサルタント。

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【連載】失敗から学ぶ海外人事(第 4 話 語学だ!気合で乗り切る?)

2019.04.01

 

4 話 語学だ!気合で乗り切る?


海外赴任前に誰もがすること
NO.1 は、勿論、語学研修ですよね。海外勤務を経験した人
なら誰でも、赴任前に上司や同僚達から、いろいろ励まされたことでしょう・・・・ 。


同僚
A:山本さん、いろいろ大変だと思うけど、気合の目ぢからで乗り切ってくださいね!
課長
B:山本くん、大丈夫だ!気合だ!身振り手振りでなんとかなるよ!君なら、だいじょーぶ!だいじょーぶ!案ずるより産むが易し!


部長
C:やまもとぉ、やっぱし海外での仕事は英語だよな。君は日常会話ぐらいは出来るんだろ?きっと、だいじょーぶだよ!気合でなんとかなるよ!「だいじょーぶ!」「気合で乗り切れ」の嵐!

実際は、「だいじょーぶ!」でも無ければ、「気合」でも乗り切れませんでしたし、「案じた通り」産むのはやっぱり難しかったのです。 私の抱えていた問題は、実は、語学力の問題だけではありませんでした。

 

今回は、言葉は間違ってないのに、まったく「意図」が通じないという、苦い体験を皆さまにお伝えします。

二十年以上前、 私がメキシコ工場に勤務した頃の話です。 赴任前に、会社が用意してくれた英語研修と若干のスペイン語研修を受講しました。私は若い頃に留学経験がありましたが、英会話能力は大したことはありませんでした。 案の定、 私は至る所で言葉の壁に直面しました。しかし、「壁」の本質は、語学力という技術的な問題だけでは無いということに、後になって気が付くことになるのです。

 

【分かったのか、分かってないのかが、分からない・・】

メキシコの公用語はスペイン語です。 私はスペイン語がまったく出来ないので、主に英語を使って仕事をしていました。現地のマネージャーは、英語が話せることが採用の条件でした。現場作業者は、スペイン語のみです。私たちは、マネージャーに拙い英語で指示を出し、それがスペイン語で現場に展開されるのです。

 

困ったことに、意図したとおりに相手が理解しているかどうかは、結果が出るまで確認出来ないのです。間違っていたら、また最初からやり直しです。ほんとに、多くの時間と忍耐を必要とする仕事だったですね。これは、多くの日系企業の駐 在員共通の悩みだと思っています。

 

【結果を期待するなら、詳細を具体的に説明しなければならない】

私がいたのは工場ですから、 5S 活動(企業によっては、 6S)は基本です。整理、整頓、清潔、清掃、躾、ですね。ある日、「この倉庫を Clean に維持しろ。」と現場に指示しました。

とにかく、雑然としていて、砂埃が舞っていたので、製品の品質管理上とても大きな問題でした。


でも、なかなか
Clean になりません。マネージャーに、「もっと、ちゃんと Clean にしろ!」と何回も指導しましたが、改善されませんでした。なかなか、分かってもらえないまま一年以上が経過した時、ある現地マネージャーに、 自宅でのバーベキューパーティーに招待されたのです。彼の自宅にお邪魔して、私は衝撃を受けました。

 

彼が住んでいたのは、道路は舗装されておらず凸凹で、とても埃っぽい区域でした。家は2 階建てでしたが、 1 階はほぼ土間の状態で、上下水道は十分に整備されていないようでした。家の中には砂埃があがっていました。

 

それでも、当時の現地従業員の家としては、随分良いほうだったようです。 私と現地従業員の間には、生活環境に圧倒的な差がありました。知識としては知っていましたが、実際にその場に行って、その差を鮮明に心に刻んだのでした。

 

そして、私はある重要なことに気が付いたのです。
現地従業員の自宅に比べると、確かに工場の倉庫は「はるかに
Clean」だったのです。倉庫のマネージャーと現場の作業者達は、ちゃんと「彼らが考える Clean」を維持しようとして、最大限の努力をしてくれていたのでした。

 

ところが、私は具体的にして欲しいことを説明していなかったのです。英語で説明することが面倒で、曖昧な表現で指示だけしていたのは、私の職務怠慢だったと思っています。

 

【気づきの訪れ、現地従業員に罪はない】

私たちは、人は「何かと比べて、良い・悪い」を判断しているという、当たり前のことに後になって気が付いたのです。外国の人達と一緒に仕事をする際には、相手が何を基準に物事を評価・判断しているかということを、常に意識していないと大きな間違いを犯してしまいます。


私の「
Clean」と 現地スタッフの「Clean」は、言葉は同じでも意味がまったく違っていました。
「私の言う
Clean とは、製品は決まった場所にきちんと保管され、道具はロケーションを決めて収納し、通路には一切余計なものは置かず、床には埃が付かないように毎日決まった時間に清掃すること。」といった具合に、詳細に説明すべきでした。


そして、駐在員自らが作業をやってみせて、翻訳を面倒がらず、理解して貰えるまで何回でも辛抱強く説明しなければ、決してアウトプットは出てきません。その努力を惜しむことと、語学力の問題を混同してはいけないのです。

 

【ほんとに役に立つ語学研修とは?】

経験から分かった事は、言葉を流暢に話せる人が、必ずしも優秀な駐在員とは言えないということです。 一方で、言葉が不得意な人が、駐在員として不適格者とは限らないのです。言葉は上手ではないけど、現地の人達を適切にマネージメントし、社外との交渉も上手にやり遂げている駐在員は数多くいらっしゃいます。


彼らは、どういうノウハウを使っているのでしょうか?きっと、語学力が不足している部分を、苦労しながら身につけた工夫によって補完しているのでしょう。あなたの会社の赴任前語学研修は、海外駐在員の仕事の役に立っているのでしょうか?一度、任期を終えて帰国した元駐在員に、「語学研修、役にたったかな?」と訊いてみる ことをお勧め致します。


「ぜーんぜん!お金と時間のムダだったな。」と言われちゃったら、ショックですよね。
どんな語学研修が効果的か深く考えてみるのも、海外人事の楽しい仕事だと思います。

 

次回は、「異文化理解」について考えてみたいと思います。

 

 

 

 

 

海外での健康予防と救急時の対処方法

2019.03.07

海外での健康予防と救急時の対処方法

海外では水が日本人に合わないと考えてください。その土地の人たちが平気で飲んでいる水でも、新参者には下痢などを引き起こすので、要注意が必要です。健康で大きなトラブルを起こさない駐在員こそ、名駐在員です。家族みんなで規則正しい生活を送り、「食事」「趣味・運動」「睡眠」の三要素がとても大切です。ここでは健康に心がけながら、万一に備えて家庭で行える予防や緊急時の対象を整理してきたいと思います。

 

 

 

家族の健康と一日の行動予定の確認する

海外生活では、毎朝、お互いの健康チェックとその日の予定を確かめ合うのも習慣にすることをお勧めします。子供の体調をきちんと把握し、予定とのバランスを見て、適切な助言をしてあげてください。これらは日本にいるときは行っていませんでしたが、海外にいる場合、毎朝行うべきです。なぜなら、家族が今、どこで何をしているかを知っておくことは、危機管理の面からも大切だからです。

 

出国前の健康診断などで「要注意」といわれたところは家族でお互いに気をつけてください。例えば、貧血、高血圧、糖尿、アレルギーなど、です。症状がそれがどういうもので、悪くなるとどんな症状や影響があるのか、改善や治療にはどうしたらよいのか、してはいけないことは何か、などについて家族全員が理解し、協力するようにしてください。

 

 

 

医療機関のリストを作成する

赴任地に着いたら、まず初めに行っていただきたいことは、前任者や日本人会などから、日本人がよく利用する診療所、救急病院などの情報収集し、実際にその場所まで行ってみてください。住所と電話番号を確認し、周囲の環境や利用者の様子も観察しておくとよいでしょう。また、救急車の呼び方も知っておくとよいです。腕によいドクターを知るには既に赴任している同僚や日本人に聞くことをお勧めします。

もし、良い小児科・内科の良い開業医を見つけることができた場合は、ホームドクターになってもらうことをお勧めします。日本から持ってきた健康診断書や母子手帳などを見せて、予防接種歴、よく出る症状やアレルギー、既往病歴、家族の病歴なども、ホームドクターに理解してもらうように努めてください。

 

日本語対応の医療機関のパイプをつくる

日本語が使える契約している保険会社の現地事務所、または提携会社に対して、電話やFAX 、Eメールでいつでも連絡が取れるかを確認してください。契約した日本の保険代理店が重要なパイプとなります。また、インターネットで日本語を使って医療相談ができるところを検索し、実際に連絡をとってみてください。さらに、日本語が通じる医療機関なども実際に通じるかどうかを確かめておく必要があります。

確認できた連絡先は、必ず大きく紙に書いて、冷蔵庫などに張り付けるなどし、直ぐに使える状態にしてください。また、夫の勤務先、日本人会の住所・電話番号、子供の学校の電話番号、担任名、友達の電話番号なども、一緒に貼っておくと大変便利です。また、お子様には「緊急連絡先」「医療機関の指定」などを記載したメモ帳やカードなどを常時携行させてください。赴任地で事故などのトラブルに遭遇した場合は、危険が防ぐことができます。

 

医療関係のものは一か所にまとめること

家族の健康診断書はもちろんのこと、母子手帳、保険証書などの必要書類は関らず一箇所にまとめておいてください。また、救急箱、体温計や爪切り、耳かきなどは、なども家族で共通認識の置き場所をどこかに決めるとよいでしょう。何かあった時にさっと出せるようにしておくことが大切です。

さらに、熱帯地域の場合、日本から持っていった常備薬などの薬は、冷蔵庫に保管することで、変質を防げます。とくに熱い国では、よく汗をかくため、カルシウム不足になりやすいので、カルシウム剤を常備しておくとよいでしょう。

 

 

 

水の抵抗力をつける

水に馴染んでください。新しい雑菌への抵抗力がつくまでは下痢に襲われることもありますが、数カ月もすると落ちついてくるはずです。家庭においては、水道には浄水器をつけ、必ず煮沸したものを飲んでください。これは駐在歴には関係なく重要です。

ただし、入浴・うがい・歯磨きなどにまで神経質にならなくても大丈夫です。抗生物質に対しては「危険物」の認識を持ってください。服用、保管にも気をつけてください。

 

 

 

海外赴任者の予防接種計画を考察する③

2019.03.04

 

家族が赴任する場合、はやり気になるのは現地での病気。また、海外特有の感染症は親としてとても気になるところです。ここで今回は子供の予防接種について考察していきたいと思います。

 

 

子供の予防接種の現状

日本にいると予防接種を気にせず渡航する方が多く見受けられます。しかし、海外で生活をすることは、いつでも感染することがあることを意識しなければなりません。もし海外赴任に子供を連れて長期間の赴任となると、ワクチンを接種してこないと入学を認めない学校もあります。最近赴任者に人気のあるインターナショナルスクールも同様で場合が多いので注意してください。子供を現地校や国際学校に入れようとすると、予防接種の記録を求められます。その場合、母子手帳を英訳したものと原本を見せるか、あるいは日本で作ってもらった健康診断書の予防接種欄を見せてください。但し、接種していないワクチンがあった場合は、すぐに接種しろと言われるかもしれないので、その時は慌てずに、医師に相談してください。

 

日本はWHO世界保健機構が定める予防接種の規定と異なる方法をとっているのをご存知でしょうか。例えば、新生児が母親からもらう免疫は半年ももたないため、生後三カ月までに予防接種を開始します。これは一例ですが、世界の予防接種の標準は日本とは異なります。特に注意しなければならないのは、予防接種を受け入れる場合の心理状態です。日本人は先進国で必要なワクチンの接種を強要されても「世界の標準はそうなのか」と納得できますが、発展途上国で同じことを言われると、過剰反応を起こし反発しやすいものです。

 

 

体調を整える

日本も昔は世界の標準に従っていましたが、副作用による死亡事故の訴訟が相次ぎ、1970年に当時の厚生省が日本独自の規定を定めました。特に予防接種は体調の良い時におこなってください。そのためにも、子供の状態をよく観察して、医師に正確に報告することが必要です。副作用については、日本では行政の責任にされますが、海外では親の責任と捉えられるのが普通です。しかし、出国までに予防接種が完了しなくても、焦らないでください。とにかく、まず体調を整えさせること、そして不安を抱かせないこと。これらを最優先にしてください。

 

 

WHOの基本的予防接種の規定

小児麻揮

ポリオを三回以上服薬し、最初の2回を8~10週間の間隔で飲みます。さらに6~12ヶ月後に、3回目を飲みます。一般に次のDPT と一緒に行われます。

 

 

三種混合(DPT二ンフテリア、百日咳、破傷風)

3~8週間の間隔で三回注射し、さらに6~12カ月後に、4回目の注射を行います。7~9歳の間に、DT(ジフテリアと破傷風の混合)を1~2月の間隔で2回打ちます。6~12ヶ月後、3回目の注射を打つのが一般的と言われています。

 

 

新三種混合(MMR 麻疹 おたふくかぜ 風疹)

12ヶ月~15ヶ月頃に、一回注射するのが一般的です。子供が既にそれらを経験していれば、既往症については免除されます。日本では、MMR 接種後の副作用事故が続発し、1993年で、公費による接種を中止になっています。現在では三種別々に接種しています。

 

 

 

結核、インフルエンザ、肝炎、肺炎、水痘

これらの予防接種は各国の流行の度合いにもより異なります。そのため、医師の判断に任せることになります。狂犬病については、動物に噛まれたら血清を打つことになっているため、予防接種は省きます。またコレラは抗生物質で治るから不要です。これら以外については、ワクチン同士の競合の危険があるので、幼児には不向きだとされています。発展途上国ですと、寄生虫が気になりますが、予防接種はなく、コンパントリンなどの総合駆虫剤を、定期的に飲むことが普通のようです。心配の場合は、現地側で薬局に相談に相談し、寄生虫の予防法や駆除法を確かめておくこともよいでしょう。

 

 

 

海外赴任者の予防接種計画を考察する②

2019.03.01

赴任される国によっては、予防接種の計画が必要になります。しかし、予防接種は多くの種類があります。そこで今回は自分がどのよう予防接種をうけなければならないのか?そして、現地でのようなウィルスや細菌感染する可能性があるのかを考察していきます。

 

 

予防接種の種類

予防接種は基本的予防接種と補足的予防接種の2つに分けられます。基本的予防接種は、原則としてすべての国民に接種することになっているものです。例えば、小児麻庫、ジフテリア、百日咳、破傷風、麻疹、おたふくかぜ、風疹、BCG(結核)などが挙げられます。これは子供に対しては市区町村が無料で行っている予防接種です。ワクチン接種前に擢患したことのある病気については、既に免疫ができているので免除されます。

 

 

麻疹・おたふくかぜ・風疹は、子供のときにかかれば比較的軽くすむが、成人してからなると症状が重く、女性の場合、胎児に悪影響が出ることもあります。多くの人は子供の頃に予防接種をしているため、「免疫がある」と思っていますが、確証がない場合は、医療機関で免疫抗体検査を受けることをお勧めします。

 

 

補足的予防接種は、上記以外に赴任国側が求めているワクチンや現地での生活環境で必要と思われるものを言います。代表的なものとしては、黄熱病、狂犬病、A型肝炎、B 型肝炎 、コレラ、日本脳炎、インフルエンザなどです。これらの中でも黄熱病以外は先進国でも感染することがあり、西ナイル病やC型肝炎なども警戒する必要があります。また、炭痘病、天然痘、赤痢、コレラ、腸チフスなどの感染も十分に注意が必要です。

 

 

そのため、出国前に接種を完了してください。赴任する飛行機に搭乗したとき既に身近に保菌者がいることもあります。また出国前に接種するメリットとして、医療機関にて日本語で説明してもらえることが大きいです。海外で予防接種するのと安心感が格段に違います。但し、決して赴任国の医療水準が低いわけではありませんので誤解しないようにして下さい。場合によっては、現地でしか入手できないワクチンもあります。また、現地の薬局でワクチンを買ってから医師のところに行くこともありますが、不安にならずに落ち着いて対処してください。

 

 

海外赴任者の予防接種計画を考察する①

2019.02.28

 

 

海外で生活する時に、何よりも気をつけなければいけないのは現地特有の病気や細菌です。ご家族が帯同される場合は家族を環境から守るため、 予防接種の計画が必要です。ここでは海外特有の病気を回避するための方法を列挙します。

 

 

現地特有の病気や感染症などを収集する

渡航前にはアメリカ疾病研究所や国立感染症研究所などのホームペジで最新の感染症危険地帯やワクチン情報などを確認することは必須です。発展途上国であれば、海外医療の専門機関に相談するのもの1つです。

 

 

家族のワクチン歴や病歴を把握する

家族一人ひとりにつき、どんなワクチン接種歴や病歴を把握してください。

いつワクチンを受けたか、またどんな病気に何歳のときにかかったかなど、加えて、慢性的持病や特異体質などについても把握してください。もし親族に心臓病や糖尿病などの体質性・遺伝性の病気にかかった人があれば、それらもキチンと把握しておくことが必要です。

 

 

体調を整える

予防接種は体調のよいときに行ってください。とくに家族が予防接種する場合は、子供の健康状態は毎日よく観察して管理する必要があります。歯科や眼科、産婦人科などで治療を受けている方は、注意してくさい。ワクチンによって副作用が起きことがあるので、医師には必ず相談してください。

 

 

予防接種を受ける機関を決定する

自宅や勤務場所に近い医療機関で予防接種をすることが理想的であるが、赴任国が要求しているワクチンを持っている医療機関が限られている場合もあります。ワクチンがある場所ごとに医療機関を変えると、予防接種証明書の作成と手続きが大変になります。1つの医療機関で全て済ませることをお勧めします。

赴任者の健康診断と予防接種を改めて考えてみる②

2019.02.27

 

改めて赴任者の健康診断と予防接種を考える

海外赴任は海外で仕事をすること。しかし、海外であっても健康ではなければなりません。しかし、意外と赴任者は健康管理については無頓着なものです。それは、前任者からのだけの情報に偏っていることが大きな理由です。インターネットや他人の情報に振りまわせることなく、ここでは赴任前の健康診断や予防接種をどうしたらよいか、一緒に考えていきたいと思います。

 

 

母子手帳を忘れない

小さいお子様がいる場合は、お子様の胎児のときに記録した母子手帳は必携書類です。特に予防接種の記録、アレルギーや既往症歴は、赴任地で治療を受ける際に重要であり、役に立ちます。身長・体重の推移、家族の病歴も、現地のドクターにとってはとても参考になります。また、出国までの予防接種プランも終了していれば、翻訳を依頼してもことをお勧めします。

 

家族でおこなうヘルスケア

準備は夫婦の共同作業で情報収集も渡航準備も、夫婦の共同作業にするのがコツ。海外生活では互いにサポートし合う機会が格段に増えるので、その予行演習としても大事である。家族同士のコミュニケーションも大切にしたい夫婦問、家族間でよく話し合って進めたことは、たとえ後で誤りだと判っても、被害は小さく抑えられず

 

赴任地の正しい理解が必要

ご家族が赴任に帯同する場合は、単身とは異なり現地の情報収集が必要です。単身赴任であれば「郷に入って郷に従う」で済むことが、帯同家族がある場合は赴任地の気候・風土、社会・文化、衛生状態などについて基本的な情報を集め、理解しておく必要があります。とくに言語や制度、宗教・習慣、人々の思考法などには、それぞれ背景や歴史があるので理解が必要です。

 

予めある程度現地の情報を把握しておけば、ストレスや異文化ショックも軽減できます。現地経験者の体験談も貴重だが、体験談はあくまでその人のものであって、主観が入っています。そのため、入手した情報は自分自身で冷静に情報を判断することを心掛けてください。書物や新聞記事は、国際親善を考えて現地環境の本質に触れていないことが多いです。現地の人の失敗談から謙虚に学ぶ姿勢をもつとよいでしょう。

 

 

家庭常備薬の用意を忘れずに!

赴任直後は言葉の問題もあるし、医療機関に行くのにどうしても抵抗があるものです。家族の使い慣れた薬をある程度備えておけば、心理的にも安心できるはずです。家庭内で「家庭常備薬セット」を用意するとよいでしょう。風邪薬、痛み止め、解熱剤などの馴染みのあるお薬は必ず入れておく必要があります。なお、熱帯では汗一をよくかくので、カルシウム錠剤などを加えてもよいかと思います。

 

引越しを使用せずに、健康診断書、病状経過診断書、母子手帳、保険証書などの重要書類のほか、救急セット、体温計、解熱・鎮痛剤、風邪薬、虫除けスプレー、キンカンなどのかゆみ止め、目薬、メガネのスペア、当面の生理用品などは手荷物で持ち運ぶことをお勧めします。

赴任者のメンタルケア②

2019.02.25

 

前回に引き続き、今回も赴任者のメンタルケアについて考えていきます。赴任先での心の問題を軽くみてはいけません。心と健康は密接な関係にあります。特に帯同家族がいる場合はさらに家族のメンタルケアに細心の注意を払う必要があります。

 

 

力まない!焦らない!

とくに海外赴任者は結果を出そうと躍起になる人が多く見受けられます。「本社にオレの実力を見せてやる」などと張り切っている人ほど症状をこじらせる傾向があります。そして、ついには、会社に大損害を与えてしまうものです。
もし、焦ったり無理をしたりしなければ、3ヶ月を過ぎあたりから次第に心身に充実感が戻ってきます。しかし、人によっては頭痛や下痢は半年近く続く人もいます。回避方法としては、何事もプラスに考え、ゆったり構えてください。そうすれば次第に、症状はだんだんと軽くなっていきます。

 

 

 

海外不適応症状から回復する方法

海外不適応症状から心身の健康維持と回復には、至極当然ですが①規則正しい食事、②適度な趣昧と運動、そして③十分な休養(睡眠)が不可欠です。もしも「体調がおかしいな」と感じたら、とにかくよく眠ることが大切です。気を付けることは「薬にたよらない」ことです。医師によっては精神安定剤や睡眠薬を投与する人もいます。しかし、あまり効果はありません。アルコールに依存し過ぎると依存症になるので、できるだけお酒に頼らないでください。「不適応期」をやり過ごせたら、あとは心身ともに安定した生活を送れるようになります。回復には上記の健康維持の三要素に気をつけていれば大丈夫です。

 

 

奥様の心のケア

ここでは駐在員の奥様の心のケアについて触れたいと思います。帯同された奥様がノイローゼで帰国されることや、離婚する場合もあります。多くの場合、夫婦の信頼関係が揺らいできたことから始まっています。それらは多くの原因によって引き起ると言えます。例えば、奥様が海外不適応症状悪化することや、夫の「仕事の邪魔」「会社に電話するな」などのちょっとした言葉が引き金になる例も少なくありません。
奥様の心のケアは、趣味・運動はリフレッシュの側面から考える必要があります。特に睡眠と通じるものが良く、また温泉やリゾートへの旅行もおすすめです。できるだけ趣味を多くもち、一人、夫婦、家族全員など、色々な人でも趣味を楽しめる工夫をしましょう。また、日記や手紙を書くのも効果的です。

 

単身赴任場合、国内に残っている家族にも「不適応症状」が起こることもあるので注意が必要です。夫・父親の不在も家族にとっては立派な“環境の変化"です。奥様が「私ばかりが苦労している」とそれぞれが不満を抱く前に細目なコミュニケーションが求められます。やってはいけないのは、夫が妻を放ったらかしにすること。相手にコミュニケーションを委ねないことが大切です。
よくやってしまうのは「国際電話は自由にかけろ」「いつでも会社に電話していい」とだけ言って、家族を放置してしまうことです。特に単身赴任する場合は、家族に対して能動的にコミュニケーションを取るように心がけてください。

 

 

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