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海外で生活する前に知っておきたかったコト!Overseas Tips

失敗から学ぶ海外人事

【連載】第 24 話 外国人の招へい、そんなに甘くはないよ

2019.08.26

第 24 話 外国人の招へい、そんなに甘くはないよ

最近、外国人実習生の逃亡が話題になっていますね。実習生を家族的な雰囲気で迎え入れたけど、突然、いなくなっちゃった・・・。良くある話です。

 

私は海外人事時代に、中国やフィリピン等の現地従業員を招へいする、管理担当も兼務していました。ある企業の海外人事担当者、若手の A くん、 そろそろ昼休みかな・・と思っていると、部長さんが暗い表情でやってきました。

 

 

部長 :「A くん、 すまんけど○○警察署に行ってきてくれんか」

 

 

A くん:「はぁ?わたし、まだ何も悪いことしてまへんで。」

 

 

部長 :「いや、そうじゃないねん。フィリピンから研修に来てる N さん(女性)がな、今、○○署におるねん。引き取ってきて。」

 

A くん:「はぁ?私に怒られに行けと?」

 

 

部長 :「そうや。謝りに行くの得意やろ?」

 

 

A くん:「お巡りさん、怒ってるんですか?」

 

 

部長 :「うん・・」


A くん:「そうでっかぁ・・もう、担当やめたいっすわ。やってられませんわ!」

 


部長 :「たのむ!ほんまに、たのむ!」

 

渋々、 A くんは昼食もとらず、○○署に出かける準備にとりかかりました。まず、 N さんの受入部署に電話して、彼女のパスポートを探すことを依頼したのでした。○○署に、どんよりとした気分で到着すると、直ぐに受付に行って、私「先ほど、○○課の方から電話を頂きました、○○株式会社の A と申します。この度は、誠に申し訳ございません!(深々と一礼)」

 


警察官:「あーー!ご苦労さん!聞いてますよ。
2 階の○○課に行って下さい。」

 


どんよりとした暗闇に向かっている階段を、一段一段、踏みしめながら、お詫びモードに心を入れ替えていたのです。

 

【せーのぉーでっ!】

〇〇課の部屋の前に到着した A くんは、「せーのぉーでっ!」と心の中で呟きながら、ドアをノックし、元気よく、「失礼します!」と入って行ったのです。

 


警察官:「あー○○株式会社さん、わざわざ来て頂いて恐縮です。ご本人は、奥にいますが、その前に状況の説明をさせて頂きますね。」

 


A くん:「この度は、誠に申し訳ございません!」

 


警察官:「いやいや、そんなに緊張なさらずに。本人も悪意があってのことではありませんから。本日、午前○○時頃、社用で移動中の御社社員が運転しておられた車が、交差点付近で、他の車両に接触されました。事故自体は、大した問題ではなく、相手方の前方不注意で、少し擦っただけでしたよ。ただ、運転者から通報があり、警察官が行って現場で簡単な検証
を行いました。その時、業務の関係で同乗しておられた
N さんが、外国人であることが認められた為、念のため、パスポート又は外国人登録証の提示を求めましたところ、急いで会社を出てきた為、バッグを忘れたと証言されました。一応、身分の確認が完了するまで、署の方に居て頂く決まりになっておりますので、お電話差し上げた次第です。」

 


A くん:「この度は、誠に申し訳ございません!パスポートはお持ちいたしました!」

 


警察官:「あ、どうもどうも、担当に確認させます。このパスポートは、会社で預かってるんですかぁ?」

 


A くん:「法律上、それは出来ませんから、本人の承諾を得て、コピーを人事で保管しております!」

 


警察官:「じゃ、パスポートはどうやって見つけたんですかぁ?」

 


A くん:「N の受入部署に依頼して、彼女の女性の同僚に依頼して探してもらいました。パスポートのコピー、在留資格証明書等は、当社では法律に則り、適切に準備・管理しております!」(言えた!ちゃんと言えた!よかった・・・)

 


【日本の警察はそんなに甘くはありません!】


警察官:「ところで、記録を確認いたしましたが、以前にも同様のケースがあったようですがぁ、会社としての対応は、どのようにお考えでしょうかねぇ?」

 


A くん:(きたぁ、ちゃんと説明しなきゃ!)

 


警察官:「研修生や出張者の皆さんに、ちゃんと説明しておられるはずですよねぇ?」

 


A くん:「はい!入国してから、会社施設で宿泊させ、出社初日のオリエンテーションで、日本での生活についての法律順守と社内ルールの説明を徹底しております。また、身分証明は常に携帯するよう、厳しく指導しております!今回のような事態になってしまい、誠に申し訳ございません。今一度、入国管理法の遵守を徹底するよう、各部門長と外国人出張者・
研修生に周知致します!」

 


警察官:「そうですね。宜しくお願いしますね。
N さんには、 あなたの方からも然るべき指導をしておいてください。今日は、これで帰って頂いて結構ですよ。お気をつけてお帰りください。」

 


A くん:「承知いたしました。帰社いたしましたら、早速、会社に報告して対策を実施いたします。お手数をおかけいたしました。」

 


N さん「スミマセンデシタ(しょんぼり・・)」

 

帰りの車中で N さんに、法律を守るように根気強く説明し、受入部門の課長さんへの報告の仕方をレクチャーし、しくしく泣いている N さんを元気づけながら、帰社したのでした。

 


外国人従業員の招へいは、そんなに甘くはありません。なぜなら、招へいした企業が、管理責任を問われるからです。外国人は、日常的に警察官の職務質問を受ける機会があります。パスポートを携帯していないだけで、拘束され、規則通りに取り扱われるのです。

 


日本の警察は、世界でも非常に信頼性が高く、真面目に職務を遂行することで国際的にも知られています。一方で、途上国の警察は、腐敗が進んでいると言われており、国民の法遵守の感覚も、日本人とはまったく違います。そういう生活体験をしてきた人達を、海外経験の少ない企業や団体が、管理の仕組みを作らず、安易に招へいしているとしたら、無防備と言わざるを得ませんね。

 


【外国人の招へいは、国際親善では無い】


最近、テレビ等で「外国人実習生」が受入元の企業や団体から、突然姿を消して、逃亡するという問題が盛んに報道されています。技術の習得等の名目で招へいするのですが、安い労働力の確保という本音も囁かれてい
るようですね。

 

欧州諸国では、将来の就労人口減少に対する国策として、積極的に移民を受け入れてきました。その歴史は古く、現在では、住民間の軋轢や差別問題、治安の悪化やテロ問題等が取沙汰されています。日本においても、 外国人の実習制度を活用して、労働力を確保している企業団体は増加の一途を辿っていると言われています。それに伴って、受入側の管理ノウハウの脆弱性が指摘されています。

 


メディアを観ていると、善良そうな町工場の社長さんや農場のご夫婦が、「いい人達だと思って、家族同様に仲よくしていたのに、逃亡しちゃった・・・裏切られた気分です・・・」としょんぼりとインタビューに答える姿が流れていますよね。
外国人を招へいし、実習・業務を管理することは、国際親善とは全く次元の違った話しなのかも知れませんね。

 

 


【優先順位が違う!】


企業や団体が外国人実習生を招へいする場合、どういう認識に立つべきなのでしょうか?

日本人の労働者と彼らとは、いったい何がちがっているのでしょうか?

 


彼らは、私たち日本人とは異なった社会で生まれ、生活しています。貧困、様々な差別、未整備な社会保障、役人の搾等、厳しい生活環境があります。更には、自国の政府すら信用できずに暮らしている人達もいるのです。


そういう環境にいる人達は、法律や外国から来た企業のルールを守っていたって、生きていけない可能性もあります。それよりも、生まれ育ったコミュニティーの信頼関係やルール(掟)を守る方が、重要度が高い場合があります。

 


彼らは、自分と家族の生活を、自分達で必死に守る必要があります。だからこそ、遠い日本まで技能実習にきたり、出稼ぎに来たりして、「現金」を稼ぐ必要があるのでしょう。

 


彼らにとっては、法律も大事だし、日本の企業や団体での信頼関係も大事ですが、もっと大事なのは、「自分と家族の安全確保・生活の安定」なのでしょう。その為に、
1 円でも高い給料を持って帰ることが、最重要課題だと思っている人の割合が多いと感じます。

 

 

【まずは、知ることが大事】


企業は、 どのように外国人労働者と付き合っていけば良いのでしょうか?
労務問題や逃亡等の不幸な結果を招かない為に、どんな管理の仕組みを作って行けばよいのでしょうか?

 


人事の腕のみせどころですよね。企業や団体では、外国人労働者・実習生に対して、日本語と日本の文化・考え方・法律・

ルール等を学ばせようと、様々な研修が実施されています。

 


その前に、彼らがどういう社会で生きてきたか?遠い日本くんだりまで、何しにきたのか?・・・使用者側がもっと勉強し、問題の本質を知る必要がありそうですね。

 


次回は、私の専門分野「海外危機管理」について、考えてみます。

 

 

 

 

【連載】第 23 話 海外駐在員の人選ミス、これほど悲惨なことは無い

2019.08.19

第 23 話 海外駐在員の人選ミス、これほど悲惨なことは無い

海外進出企業にとって、「誰に行ってもらうか」を検討するのは、とても重要な問題です。でも、意外に「人選」をいい加減にやっている企業が多いことに驚きを隠せません。海外駐在員の人選とは、いったいどうあるべきなのでしょうか?
そもそも、「海外駐在員とは?」というところから、始めないといけないのかも知れません。

 


海外駐在員の人選とは、いったい何を意味するのでしょうか?まずは、海外駐在員の役割というものを、会社として正確に分かっていなければなりませんね。

 


【赴任後に、海外駐在員に何が起こるのでしょうか?】

 


海外事業で、最も悲惨な結果を招く可能性が高い人選は、「機能偏重主義」です。これは、本当に注意が必要です。
たまたま日本で海外事業担当者だったり、単に外国語が堪能だったり、専門スキルが海外の顧客対応に必要だったりして、担当の機能部門から「行ってくれそうな人」を選んで白羽の矢を立てるということが、実際に良くあることなのです。

 


しかし、赴任地で彼ら駐在員を待ち受けているのは、実務だけではありません。現地で採用した部下達や、現地の顧客の担当者達といった、日本人とは言葉も感覚も違っている人たちが、手ぐすね引いて待っているのです。

 


実務的なスキルで選ばれて、本人も実務担当者だという勘違いをしたまま赴任すると、とんでもないことになってしまいます。多くの海外駐在経験者の皆さんは、必ず、このことを身を持って体験しています。

 


彼らが切実に感じたことは、何か?それは、「海外駐在には、マネージメント・スキルが必要不可欠である。」ということに、他なりません。

 


日本にいる社長始めとする経営陣に成り代わって、赴任地で事業所を経営するという使命を負っているのが、海外駐在員なのです。たとえ、派遣された人が、日本では管理職の経験
が無い担当者だとしても、着任するとそこには管理・指導すべき現地従業員が待ち構えている場合が多いのです。

 

 


【帰任してから理解できた、先人の言葉】

 


私は、メキシコ工場に赴任した時には、32歳の生意気な若造でした。駐在中は、工場稼働の大混乱、部下達の労務問題などなど、本当に苦労しました。しかし、起こった現象だけに意識が集中し、原因は全て自分以外の他にあると思い込んで
いました。

 


赴任前の研修で、有名な松下幸之助氏の「駐在員の心得」を知りましたが、当時、不遜な態度であまり気に留めていませんでした。「メキシコでは酷い目にあったなぁ」と、帰任してからも反省などすることはありませんでした。

 


ある日、書類を整理していると、赴任前の資料がポロっと出て来ました。私は、一枚の資料に目が釘付けになったのです。
そこには、とても重要なことが書いてありました。


松下幸之助氏 「海外勤務の心得」

一、異国に在ることを認識し、其の国の風俗・風習に早く慣れるとともにそれらを深く理解すること。
二、常に自己の健康に留意し、爽快な心で社員に接すること。
三、品質第一を旨とし、技術の妥協は許されないこと。
四、現地材料の開発を積極的に行ない、日本の依存から脱却すること。
五、日本人社員間は勿論(もちろん)のこと、現地社員との和を常に重んじること。
六、現地社員を育成し、経営全般に参画せしめ、現地社員による経営の時期を早めること。

 


しばらくの間、その資料を眺めていて、やっと言葉の意味が理解できたのです。駐在中に発生したさまざまな混乱は、実は、私が「どういう考え方で仕事をしていたか?」が、そのまま結果として現れていただけだったのです。

 


原因は、自分自身の中にありました。
「メキシコ工場にいた自分は、海外駐在員としては、まったく不適格な人材だった。」ということに、運良く気がついたのでした。

 


でも、帰任してから気づいたって、遅いですよね。最近では、海外駐在員を対象とした民間医療機関で、海外駐在員の適正を計測してくれるサービスがあります。赴任前に弱点や、補うべき事柄などが客観的に分かるため、活用している企業が増えてきたそうです。

 


【経営者を送り込むという認識】

 

  • 海外人事として、海外駐在員の人選をどのように捉えればいいのでしょうか?
  • 会社にとって、海外駐在員とはどういう存在なのでしょうか?
  • 彼らは、赴任地に何をしに行く人達なのでしょうか?
  • 彼らには、どういう素養が必要なのでしょうか?

 


海外人事は、これらのことを真剣に考察する必要があります。なぜなら、海外駐在員の派遣は、赴任先の現法にとっては「経営に携わる人材」の受け入れに相当するからです。海外駐在員の人選に深く関与することは、海外人事の仕事としては、非常に興味深く、やり甲斐のあることではないでしょうか?

 


次回は、「海外からの実習生・研修生の招聘」について、考えてみます
 。

 

【連載】第 22 話 赴任前の車の処分は、悲喜交々

2019.08.12

22 話 赴任前の車の処分は、悲喜交々

海外赴任前の準備、いろいろ悩み事があるものです。経済的な負担も、結構ありますよね。特に、車!
これには、私も苦労しました。

 


私は、二回の北米駐在で、何度も車を買ったり・売ったりで、ほんとに大きな出費を強いられました。会社からの貸付金制度はあったものの、結構、家計に響きますよね。海外赴任に伴って、車の売り買いで苦労する人が多いのは事実です。
海外人事時代には、赴任予定者から車の処分についての相談を受けることが何度かありました。

 

ある日、人事の若手の N くんが海外赴任することに決まりました。

 


内示が出たその日に、彼は私のところに相談に来たのです。


N:「山本さん、僕、ついこないだ車を買ったばかりなんですよね。」

 


私:「そら、売らなあかんな。はやく売っちまえ。置いとく分けにはいかんやろ?君がいない間、私が乗っとこうか?事故したら、ごめんね。」

 


N:「・・・山本さん、冷たいっすね。憧れて、やっと買った車なのに・・・」

 


私:「売れ売れ!はよ、売れ!あたしゃ、昔、人事に相談したけど、車の面倒なんて見てくれんかったど。はよ売れ!赴任者の気持ちを理解する、良い機会ぢゃ!帰任したら、君がその経験を活かして、赴任者の車の取り扱いに関する制度設計をすればいいのだ!」

 


N:「山本さんって、わりと根に持つタイプなんですね。もういいです!自分で調べてなんとかしますよ! 」

 


私:「そうしなさい、そうしなさい!経験に勝る師は、ないのです」
N くん、早速、インターネットでいろいろと調べ始めたようでした。

 


結局、彼が希望する価格では売れず、時間切れでローンを完済できず「あし」が出てしまったのでした。こういう事例は、良くあることです。私の知っている限りでは、海外赴任に伴う車の売却損を補填する制度を設定している企業は、少ないようですね。

 

【車の売却、いろいろ難儀です】


海外赴任者が、車の売却でいろいろ難儀する原因の一つに、内示から赴任までに、あまり時間が無いことが挙げられます。
企業によって、社内の仕組みが違いますから一概には言えませんが、2
-3ヶ月しか準備期間が無いというのは、良くあることです。

 


十分に時間があれば、じっくりと車の処分を検討して、買い手を探すことが可能ですが、準備期間が短くなればなるほど、困難が伴います。

 


一年ぐらい前に内示されていれば、車の処分は楽でしょうが、そんなに前から内示して貰える会社は、ほとんどないでしょう。
しかし、あせって売却してしまうと、赴任直前まで車の無い不便な生活となってしまいます。できれば、日本を発つまで、愛車を使いたいですよね。

 


最近、多くの企業で、海外赴任者向けの車買取サービスや、車保管サービスを提供する業者さんを、赴任予定者に紹介しているようです。

 


車の査定から引き取りまで、非常にスムースに行ってくれる、便利なサービスです。場合によっては、赴任日に空港まで愛車を乗って行って、空港で引き取ってくれるサービスもあります。

 


こういうサービスは、赴任前でバタバタしている時には、ほんとに便利ですよね。

 


【車貧乏】


N くんの事例のように、若い人達は、ローンで車を買う場合があるため、本当に気の毒な結果になることがあります。
「車貧乏」することによって、海外駐在への動機付けが低下してしまう可能性もあるかもしれません。「社命」による海外赴任で、損失が出る場合には、会社は可能な限り補填をすべきですが、「車」については見解が分かれるところです。
しかし、海外人事としては、気分良く赴任して貰いたいという気持ちはあるのです。

 


私の場合は、二回の海外赴任で、忙しさにかまけて無計画に車を売却・購入を繰り返したので、損失はかなりの額になりました。
そういう経験をした駐在員は、沢山いらっしゃると思います。一方で、公平性を担保することが建前となっている人事制度には、「車貧乏」を配慮する制度は、なかなか「設計」しにくいのは事実です。

 

 


【なぜ、車貧乏が発生するのか?】


車貧乏に限らず、「家を購入して直ぐ赴任」等、海外赴任でさまざまな生活上の損失が発生するのは、結局、海外赴任がある日突然に内示され、赴任までに期間が短いってことでしょう。

 


突然に人生設計の変更を強いられる為に、それまでの予定を一旦「0」にしてしまわなければならないのです。「0」にすると、当然、損失が出ますよね。どうして、突然に内示されるのでしょう か?

 


それは、そもそも海外の人事異動について、しっかりした要員計画が無いからです。


事業計画を元にした要員計画が無い・・・なんて恐ろしいことでしょうか?


海外要員計画は、戦略的でなくてはなりません。それが、無いとしたら・・・海外事業に戦略が無いってことになってしまいますね。

 

計画の精度が高ければ高いほど、早期に内示できるので、赴任予定者に準備期間を長く与えることが出来ますから、個人の負担を軽減できるでしょう。

 


「突然にすまんが、海外へ行ってくれ!」というセリフが出てくる会社は、海外人事が機能を全うしていない・・・のかも知れませんね。

 


次回は、海外事業で最も重要とされる「駐在員の人選」について考えてみましょう。

 

【連載】第 20 話 海外赴任、住居探しでのトラブル

2019.07.29

 

20 話 海外赴任、住居探しでのトラブル

海外で住居を探すって、手間がかかりますよね。歴史の長い海外事業所に赴任する場合には、多くの先輩駐在員がいて、いろいろサポートしてくれますから、安心です。今回は、ある駐在員が経験した「本当にあった、怖い話」を、皆様にお話ししたいと思います。

 


ある企業の北米駐在員の
A さんは、 空港で本社の新規赴任者 B さんの到着を待っていました。 B さんは先輩社員ですが英語はまったく出来ず、 アメリカに住むのも初めてで、不安な面持ちで到着ゲートから出てきました。

 


A さん:「お疲れ様です。ようこそいらっしゃいました。明日から、早速、住居をさがしましょう。」
B さん「A くん、いろいろ面倒かけるけど、宜しく頼むね。」

 

 


【順調な住居選定・・・】


B さんは、「候補」を 2-3 軒準備して欲しいと連絡してきていました。 生活設営を支援する羽目になった A さんは、 現地の顔なじみの不動産屋さんに手配を依頼し、めぼしいところを何軒かピックアップしておきました。到着の翌日から早速、 B さんに同行して、不動産屋さんと物件の下見をしに行きました。

 


日本と現地の違いを追加説明しながら、通訳するのは結構大変です。とりあえず一軒、 リーズナブルな物件があったので、「ここに決めようかな・・」という雲行きになったとき・・

 


B さんは、「ここで良いような気がするんだけど、嫁さんの意見も聞いてみないと・・・」と 言うので、不動産屋さんが日本にいる奥様にも物件の詳細な写真をチェックできるように、ホームページにアップしてくれました。

 


B さんは、日本にいる奥さんにその写真をパソコンで観てもらいながら、電話で意見を聞いたようでした。その時 A さんは、 まだ B さんのご家庭では奥さんが実権を握っていることを、まったく知らなかったのです。そのことを知らない為に、後でとんでもないことが起こったのでした。

 

 


【焦りは禁物!上手く行き過ぎるときは注意しよう!】


物件の下見をした翌日、
B さんは言いました。「嫁さんと昨日検討したのだが、外国のことはよく分からないから、そっちで決めちゃって良いよと言ってた。俺、昨日の物件に決めるよ。」よっしゃ!決まったあ!

 


意外に簡単に決まってよかったな・・・・と、ほっと胸を撫で下ろしながら、不動産屋さんのオフィスに行って、
B さんはめでたく 契約書にサインをしたのでした。

A さんは役目は終わったなと、ほっとしましたが、 なんとなく妙な胸騒ぎがしたそうです。

 

 


【奥さんからの
NG 出し・・】


一週間ほど経ったある日、とんでもないことが起こったのです。よくよく、間取りや広さをチェックした
B さんの奥さんは、心変わりしてしまったのです。B さんと 車で移動中に、携帯電話がけたたましく鳴り出しました。電話をとった彼は、突然・・・

 


「えーーー、うーーーー、そっかーーー、うーーーん、うーーーん、あーー、そっかーー」苦しそうに、唸りだしました。

 

電話から は、 日本から 奥さんが大声で文句を言っているのが漏れ聞えていました。

「あのね A くん、 嫁さんが、あの家が気に入らないらしいんだよ。

間取りとか、よくチェックしてみたら狭いから、契約解除してもっと広いとこを探したいって言うのよ。

今からでも、契約解除できる?」

 

はぁ?あんたら、何言ってんの?

 

 


【住居選定で配慮すべきこと】

私は、物件を見繕う時に、「治安が良い地域であること。」を第一条件にしていました。そのほかに、良い学校が近くにあること、買い物の利便性等を念頭に選定したのでした。契約した物件は、とても良い物件でしたし、賃料も妥当だと考えていました。

 


ところが、契約済んじゃってるのに・・ ・家が狭い?って、どういうこと?
「そっちで決めちゃって」って、いってたじゃん・・でも、どうしても嫌だというから、仕方ありません。

 


不動産屋さんに、「今から、契約解除できる?」って、訊いてみました。

 


すると、「オーナーに確認したらね、契約破棄してもいいけど、訴訟するって言ってたよ。今から、弁護士に相談するみたいだよ。言っちゃなんだけど、オーナーさんには契約上の過失は全くないし、契約してすぐに破棄するなんて、俺もあまり経験がないよ。こりゃ、揉めるよー。どうする?」と、軽く言われてしまいました。

 


訴訟かぁ・・・

 


(つまり、オーナーさんは、激怒してるってことだな・・・そりゃそうだよな、契約書にサインして、直ぐに「やっぱり、やーめた!他の探す!」なんてことは通用しないよな・・・
でも、一度、実際の訴訟ってどんなものなのか、勉強の為に経験しとくってのもありかも・・・いやいや、それは不味いな・・・・)などと、思いながら、オーナーさんが徹底抗戦の構えであることを、 B さんに伝えると、「やっぱしなぁ・・・」と、憂鬱そうに黙り込んでしまいました。

 

 


結局、彼は奥さんとの激しいバトルの末、契約満了まで待って、他の物件に引っ越すということで決着しました。新しい家に引っ越すまでの間、折に触れ、彼は奥さんから「家が狭い、気に入らん」という愚痴を聞き続けることになったことは、言うまでもありません。

 

 


【住居のゴタゴタは、業務に響きます】


一般的には、住居関連のトラブルは、解決に時間がかかる場合が多いです。それに、揉めると簡単に訴訟になります。そういうゴタゴタに駐在員が巻き込まれるのは、会社にとっても、好ましいことではありませんよね。

 

A さんが犯した過ちは、早く住居を決めなければという焦りから、ご本人と奥さんと が意見調整する為の、十分な時間を取る配慮を怠ったことでした。また、契約の重要性を十分に本人に説明しなかったことも敗因でした。

 

 

海外のビジネスでは、契約の取り扱いは、とてもシビアです。海外でのビジネスに慣れてくると、必ず契約書を自分で確認し、不利な条項が記載されていないかどうかをチェックする習慣が身についてきます。もっと慣れてくると、弁護士に相談
するという知恵も付いてくるのです。

 


でも、赴任したばかりの初心者駐在員には、契約に関するリスク感覚が、未発達の場合が多いですね。海外人事は、そういった生活上の契約リスクを、赴任先や赴任者本人に丸投げするのではなく、赴任前にレクチャーしておくべきだと思います。

 

 


最近では、日本人駐在員向けに不動産サービスを提供している会社があります。家探しから、契約・賃料管理・クレーム処理まで対応してくれるそうです。

 


多くの日系企業が、海外不動産サービス会社と契約し、生活設営支援の合理化とトラブル回避を図っています。

 


昔は、前任者が後任者の生活設営支援をするのが、海外駐在員の暗黙のルールになっていました。しかし、引き継ぎ期間中に、バタバタと生活設営をやるので、前任者・ 後任者の双方に大きな負担が掛かっていたことは事実です。

 


「赴任後、速やかに業務に就く」が、優先される時代になってきたようですね。

 

次回は、帰任時の「住居退出時のトラブル」について、考えてみます 。

 

 

【連載】第 19 話 海外人事泣かせの医療費精算

2019.07.22

19 話 海外人事泣かせの医療費精算

 

私は、会社勤めを辞めてから随分経ちます。会社員時代は、多くの会社員の皆さんと同様に、毎日、遅くまで残業していました。海外人事時代のある日、残業をしていると、遅い時間なのに海外人事担当の若い女子社員
が居残っていました。

 

「どしたの?まだ、帰れないの?」と、彼女に訊くと、「はぁ・・駐在員の医療費の健保請求が溜まってるんですぅ〜」
(山本さん、助けて〜、みたいに瞳が訴えています・・・)

 

「おー、どれどれ、ちょっと見せてみ・・」溜まっている書類に目を通すと・・・「あ〜、めんどくせー。これって、ものすげー面倒だなぁ」と、思わず言ってしまいました。

 

彼女は、泣きそうになりながら、「そうなんです、なかなか書類が揃わなくて・・・」生来、大雑把な私は、「ちょっとぐらい、足りないのがあっても、いいんじゃないの?」と、いってしまいましたが、「ダメ!それじゃ、ダメなんです!全部揃ってないと、ダメなんです! 健保組合から差し戻されるんです!

 

駐在員からは、督促されるし、足りない書類の提出をお願いしても、なかなか来ないし・・・」こういうの、何か良い方法はないのでしょうか?海外駐在員と帯同家族の医療費を、日本の健康保険に適用申請できるのは、今ではよく知
られています。

 

海外で病気になってしまって、現地の医療機関で治療を受けた場合、国にもよりますが、日本人の感覚では理解出来ないほど高額な請求が来ることがあります。また、海外拠点で駐在員と帯同家族に健康保険を付与している企業が多いですが、現地の医療制度・保険制度が日本と違うため、いろいろと不便を感じる場合が多いと聞いています。

 

【健保請求の書類が、なかなか揃わない理由】


私は海外駐在中に、日本の健保に請求する書類が、なかなか揃わない経験をしました。ある時、海外事業所での激務から体調を崩し、「目眩」を感じるようになりました。立ち眩みが酷くなってきたので、医者嫌いな私も、さすがに心配になって病院に行きました。

 


米国では、いきなり大きな病院に行くことはありま せん。ホームドクター制になっているので、近所の開業医のところに予約を入れて診察を受けます。「じゃ、明後日、ラボに行って頭の
CT スキャンを撮ってきてください。」と言われました。

 

日本だと信じられないことかもしれませんが、現法で加入している保険会社と提携がない医療機関で CT をとったら、一旦全額を支払うことになってしまいました。なんと、約2000ドル(20数万円)!そして、また2 -3日してから、ホームドクターのところへ結果を聞きに行くのです。

 

 

【なかなか終わらない診察・・・・】


ホームドクターは、写真をみながら・・・・
「うーーん、じゃ、今度は明日、この病院にいって、専門のドクターに診察してもらってください。」
翌日、指定されて大きな病院に行きました。そこで、専門ドクター診察を受けると、「おそらく、過労でしょう。
CT の写真では、問題はありません。一週間程度、ゆっくり休んで様子を見ましょう。」

 


その後、何回か病院を行ったり来たりして、終了するまでに一ヶ月近くかかりました。通院日には、仕事を休まなければならず、非常に効率が悪かったですね。

 


【健保請求の書類が揃うのに、2ヶ月かかった・・・】


結局、日本の総合病院のように、一箇所で完結しませんから、領収証や診療内容、検査内容、医師のサイン等を、耳を揃えて本社の人事に送るまでに、恐ろしく時間がかかってしまうのです。

 


しかも・・・・健保組合に申請する為には、海外人事の担当者が、慣れない英語の領収証
や記録などを読み解いて、整理する必要があるのです。そうこうしているうちに、 2 ヶ月以上経過して、やっと健保へ申請できるのです。

 


でも、よくチェックして申請したけど、健保サイドで「これ、何かな?」となって、不足している書類の提出を依頼してくることもあります。これを、また駐在員に依頼して、原本が届くのに、また暫くの間、保留せざるを得なくなるのです。
そうやって、担当者のデスクの未処理の箱に、溜まっていくのです。

 


【人事の片手間では、追いつかなくなってきました】


海外進出の初期段階では、人事の担当者が、副業的に駐在員の管理業務をやっていても、特に大きな問題は起こりませんでした。しかし、多くの企業が海外進出を推進してきた結果、「人事の副業」では、業務崩壊が起こるリスクが高まってきています。

 


近年、海外駐在員向けの優れた医療サポートを提供している 会社が重宝されています。
健保への海外医療費申請代行、
24 時間医療相談、病院の紹介、医療費のキャッシュレスサービス等、非常に多岐に渡る良質のサービスを展開しています。

 


また、公平性を可能な限り担保できるよう、企業に助言することが出来る、労務管理的な視点に立ったサービスを展開しているところもあります。多くの企業で、海外事業が経営の屋台骨を支えるようになってきています。その屋台骨を支える海外駐在員の生活支援にかかる費用を、「必要経費」と考える企業が増えてきました。

 


「苦労して、海外サバイバルスキルを向上させる」というのも、一つの考え方です。私自身も、海外で苦労した経験が自信に繋がったことは確かです。しかし、ビジネス環境変化が加速度的に早くなってきた昨今、駐在員のサバイバルスキル
向上を待っている程には、悠長に構えては居られなくなった現実がありますよね。

 


一方で、「生活支援を充実させることによって、効率よく業務に集中させる」という考え方も、海外事業では重要だと思うようになりました。

 


次回は、海外赴任直後に直面する「海外での住居さがし」について、考えてみましょう

 

 

【連載】第 18 話 えらいこっちゃ、米国ビザがとれない!

2019.07.17

第 18 話 えらいこっちゃ、米国ビザがとれない!

ある会社の海外人事担当の A さん、赴任予定者からのメールをみて愕然としています。「米国大使館でビザ申請の面接したところ、却下されました。すんません・・・」大変なことが起こりました。「まさか、申請拒否されるなんて、思ってもみませんでした・・・」なぜなんだろう・・担当の A さん、頭をかかえてしまいました。

 

「えらいこっちゃ・・・どないしよう・・・」心が、ひんやりと冷え込んできました。事業本部には、「赴任準備は順調」と報告してしまったし・・・こういうことは、よくあることです。こんな時、どうすればいいのでしょうか?

米国のビザ取得の申請で、「却下」となることは、実はよくあることです。

 

書類に不備があったり、虚偽の記載があると判断されたり、米国に住みつく可能性がありそうだと判断されたり・・・
領事は常に、注意深く、申請者と申請書をチェックしているのです。一度、「却下」されると、後々非常にやっかいなことになりますよね。

 

【赴任させるべき人材を、赴任させることが出来なくなった】

海外事業に駐在員を投入する場合、それは大きな人的投資であると共に、場合によっては会社の屋台骨を支える重要な人員配置となります。候補者の人選を注意深く行い、本人の説得に神経を使い、大きな予算を割いて赴任前研修をして、「さぁ!いよいよ赴任だ!」のタイミングで、「ビザ申請却下」。

 

 

会社としては、ほんとうに大きな痛手です。私は海外人事時代に、米国赴任予定者のビザ取得の面接日には、なんとなくそわそわしていました。会社に実績があり、ある程度の信頼が構築されている場合には、そんなに心配することはありません。でも、毎回、「まさか!」というような事態にならないか・・・とても不安でしたね。

 

 

幸いにも、私が在任中には「まさか!」は起こりませんでした。でも、世の中には、その「まさか!」によって、事業に大きな影響を受けた企業が、けっこうあるそうですね。

 

 

【係官は、注意深く人物を観察している・・】

ずっと以前に、ある日本の在外公館関係の方から、お聞きした話です。外国の人が、日本のビザを申請する場合には、大使館や領事館が窓口になっていますよね。そこで、申請にきた本人を領事さん達は、注意深く観察しているのだそうです。

 

申請書には、「技術者」と記載されているけど、まったく「技術者」には見えない人、「ビジネス」と記載されているけど、派手な色のシャツ着て「到底、ビジネスマン」には見えない人、「歌手」だそうだが「はぁ?」な雰囲気の、、、、、
「申請書」の記載内容と、実際に現れた人物とが、一般的な感覚で余りにも乖離がある場合や、遣り取りの中で記載内容と異なることを証言したりすると、不自然ですよね?

 

そういう時には、審査を厳格にするのだそうです。その結果、許可しないという結論になる場合も、あるそうです。
米国ビザの場合においても、立場は逆ですが、私たちは米国の係官に面接の時には、かならず「観察・評価」されているに違いありません。

 

 

申請に来た人物が本人かどうか、虚偽の記載がないかどうか、任期が終わったら必ず日本へ帰国するのかどうか、目的にあったビザを申請しているかどうか・・・、そういうことを、面接時に証言や態度を観察しながら、判断しているのでしょうね。

 

私は海外人事時代、米国赴任予定者には、「必ず、ビジネスマンらしい服装で面接を受けに行ってくださいね。そんなことはしないと思うけど、短パンにアロハとか絶対だめよ。ビジネスマンとして信頼を得ることが出来る 服装していってね。」と、強く要請していました。

 

 

【却下されそうな、深刻なケース】

米国ビザの申請却下を受けそうなパターンは、いろいろありますが、少々神経質な問題も孕んでいます。米国での不法滞在歴、犯罪歴、過去のビザ却下の履歴等は、かなり深刻です。

 

 

海外人事としては、非常に取扱いが難しいのですが、赴任候補者が「会社には言いたくないから、沈黙している。」という可能性を排除してはいけません。また、海外人事の手続き担当者が、米国入国管理法の勉強不足で、申請すべきビザが違っ
ている場合にも「却下」されることがあります。「正直」に記述したとしても、「却下」されることがあるので、ビザの選択は慎重に行うべきです。

 

 

駐在員のビザ申請は、非常に重要ですから、不明な点があれば必ず専門家に相談することが妥当だと思います。

【もしビザ却下されたら、どうすればいいのか・・・】

私が経験上言えることは、米国ビザでトラブルが発生した場合には、素人では対応が非常に困難だということです。よく分からないまま、焦って対応を間違うと状況が悪化してしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。

 

米国ビザのトラブル対応に詳しい、国際法律事務所があります。そういう経験豊かで、米国側としっかり連携している法律事務所に相談すれば、少々お金がかかりますが、何らかの解決の糸口が掴めると思います。

 

次回は、海外人事が苦労する「駐在員・帯同家族の医療費の精算」です。

 

 

【連載】失敗から学ぶ海外人事 第14話異国の地で病気になっちゃった。健康管理は大事です!

2019.06.17

14 話 異国の地で病気になっちゃった。健康管理は大事です!

 

 

「山本、あのな・・・ A さんね、昨日ね、亡くなったんだ。」

 

 メキシコ工場時代、同僚の駐在員が私のデスクに来て、ショックで呆然としながら知らせてくれました。

 

 A さんは米国現法に単身赴任し、多忙にも関わらず、私たちのメキシコ工場立上げを支援してくれていました。良き兄貴分として、私たちは信頼を寄せていました。その頃、私たちメキシコ工場組も、 A さんと同様に激務に耐えていましたので、他人事ではありませんでした。A さんは、単身赴任で、帰任する前にメキシコ工場まで帰任挨拶がてら出張して来てくれました。

 

 

送別会で、 A さんは、「俺な、体調悪くて、なぜか背中が痛くてね、なかなか治らないんだ。医者に診せても、よく分からないと言われてね」と、しきりに背中に手をやっていたことを覚えています。
帰国後間もなく、
A さんは風呂場で突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。 40半ばだったと記憶しています。 それ以外にも、何人かの駐在員が、駐在中又は帰任後に癌や白血病、脳梗塞、尿道結石などで戦線離脱し、中には不幸にも亡くなった人もおられます。仲間が病気したり、亡くなったりするのは、とても悲しいことです。海外人事は、何をすべきなのでしょうか?

 

私は、 海外赴任支援の仕事以外に、海外の危機管理も専門分野として取組んできました。まず、下記の数値を良くご覧になって頂きたいのです。

 

 

【外務省統計: 2017 年海外邦人援護統計】

 

 

事故・災害・事件等統計表 201 7 年 (全世界)より抜粋

 

2013 年:在外邦人の要因別死者数(総死者数: 477 人)
1)傷病 (302 人: 63.3%) *自殺 35 人含む
2)事故・災害 (73 人: 15.3%)

3)殺人・強盗・傷害その他の犯罪 23 人: 4.8%)
4)テロ・紛争 0 人: 0%)
5)その他 79 人: 16.5%)

 

これは、 2017 年に海外で亡くなった邦人を、要因別に纏めた数値です。よく観察すると、この統計はもう一つ、非常に重要なことを私たちに語ってくれています。それは、在外邦人の死因のうちで、圧倒的に多いのは「傷病」だということです。このことは、見落とし勝ちな「事実」です。

 

【駐在員の病気が意味すること】

 

 

 海外駐在員は、慣れない土地で、しかも「担当者は自分だけ」という職場環境で業務をしている人が殆どです。日本で勤務している時には、直ぐに病院に行くことが出来ますが、外国では医療の仕組みの違いや言葉の問題がある為、少しくらい体調が悪くても、仕事を優先してしまって医療機関に行こうとしない駐在員が多いのです。

 

 私も、そうでした。そもそも、病院なんて大嫌いでした。もし、医者に「休め」と言われてしまうと、仕事を休まざるを得なくなります。自分が何日も仕事を休むと、工場稼動が混乱し、挽回するのに何倍もの労力がかかります。「結局、誰も手伝ってはくれない。」と分かっていましたから、病院なんかには行きませんでした。


元気なふりをして仕事を続けた方が、よっぽど気が楽だったんです。そういう駐在員は、今でも世界中に沢山いらっしゃると思いますね。駐在員に選ばれる人は、「素直な戦士」が多いのです。
でも、一旦「ぽきっ!」と折れて病気になってしまうと、交替要員は直ぐには派遣出来ま
せん。しかも、長期の療養になると、海外事業所全体に「風穴」が開いてしまい、大きな損失に繋がりかねません。

 

 

 「仕事の標準化」という美辞麗句はあったとしても、まだまだ、多くの海外事業所では、「駐在員」の働きに頼った「属人的」事業運営が主流です。駐在員の病気は、そのまま「会社の病気」に直結するのです。

 

 

 

【健康管理は海外人事の腕の見せどころ!】

 

 

 

 海外駐在員の健康管理は、海外人事にとっては姿が見えないだけに、とても難しい業務ですよね。
国によって医療制度や医療水準が違っているため、海外渡航医療に関する知識や経験、「緊急事態対応」の即応能力も必要です。場合によっては、決然と行動する「度胸」が必要な時もありますし、病人やご家族に対する「思いやり」も必要です。

 

 近年、海外医療サービス業者と契約する企業が増えてきました。良質な海外医療サービスは、現在では海外進出企業にとって、なくてはならない存在になっています。

 

 対象国の医療制度・医療水準、実際の病院での対応、保険制度、医療保険への加入、対象国の感染症、対象国の衛生水準、対象国の気候、いろいろ分かっていなければならないことが多いのです。

 

 

 健康管理を適切に実施することの出来る海外人事は、経営者にとって、大切な宝物となるでしょう。

 

 もし今、あなたの会社の海外事業所の「キーマン」が倒れたら、適切な対応が出来る体制にありますか?
その前に「適切な対応」とは、どういう対応なのか、分かっておかなければなりません。
まさか、「大変だ!大変だ!」と騒いで、何も対処できず、見殺しにしてしまうということにならなければ良いんですが・・・・。

 

 ほんとに、大丈夫ですか?

 

 

次回は、海外駐在員にストレスで起こりがちな、「メンタルヘルス」について考えてみましょう。

 

 

【連載】失敗から学ぶ海外人事 第 13 話 奥様は外国人、駐在員の一時帰国は難しい

2019.06.14

 

 

13 話 奥様は外国人、駐在員の一時帰国は難しい

 

 

 国際結婚があまり珍しいことではなくなったのが、随分と昔のことのように感じる、今日この頃です。私の海外人事時代にも、駐在員の奥様が外国の方というパターンが、何組かいらっしゃいましたね。

 

 以前、海外人事セミナーで知り合った、ある会社の海外人事担当者との会話を思い出しました。 彼の担当する北米駐在員の奥様が、オーストラリア人で、学生時代に知り合って結婚されたそうです。小さい子供さんもいて、楽しく駐在生活を送っていたそうですが、一時帰国の権利が発生する年に事件が起こりました。

 

 

 その駐在員からの質問は、「日本もオーストラリアも、一時帰国の対象になるのか?」ということだったそうです。「残念ながら、駐在員本人の母国(日本)への一時帰国を対象としている。」と、あまり深く考えずに回答したんだそうです。

 

 

 この回答が、円満だった駐在員の家庭に、不穏な空気を巻き起こしてしまいました。

 

 

「一時帰国は、日本しか対象としてないんだってさ。」彼は、オーストラリア人の奥様に、海外人事からの回答を伝えたところ・・・・。

 

 

 

「はぁあああ?どういうこっちゃ?○△××♯♭◎××◎○!!!!(翻訳不能)」奥様が激怒してしまいました。
奥様としては、最初、日本に「行って」ご主人の両親に孫の顔を見せて、後にオーストラリアへ「帰って」自分の両親に会う・・・というパターンを心に描いて、楽しみにしていたらしいのです。彼女は、「一時帰国」という制度は、てっきり全てが会社負担だと思い込んでいたのです。

 

 

 その会社が、どういう取扱で対応したかまでは、話してくれませんでしたが、機会があれば訊いてみたいですね。駐在員の家庭不和は、海外事業の危機に発展するかも知れません。
とても、難しい問題ですね。

(*会社によっては、既に外国人の帯同配偶者を想定して規程に織り込んでところもあるようです。)

 

 

【私だったら、どういう対応をするかなぁ・・・】

 

 

① 奥様の願いには一切関知せず、規程通りの対応をする。
② 赴任国→日本→オーストラリア→赴任国、すべて会社負担にする。
③ 赴任国→日本とオーストラリア→日本は会社負担、日本→オーストラリアは本人負担にする。
もっと他にも、選択肢があるでしょうね。でも、それぞれに理屈を考えるのが面倒ですよね
 。

 

 

 そもそも、 最初に奥様を激怒させてしまったので、後から何を言っても、全て会社負担の対応以外は、気分よく納得して貰えそうにないですよね。最初に、きっちり考えて丁寧に回答すべきでした。

 

 

あなたが海外人事担当者なら、どういう理屈で、どういう取扱をするでしょうか?

 

 

【個別の取扱は、とても難しいのです】

 

 

あなたの対応を、熱い眼差しで見守る人達が沢山います。
駐在員本人、激怒している奥様、周辺にいる上司と同僚の駐在員(応援団)、激怒してる奥様の周辺にいて結果を見守る奥様ネットワーク(応援団。きっと、他社の奥様方もいますよ。 )、噂を聞き付けて興味深く見守る国際結婚している他国の駐在員達などなど・・・・、グローバルに広がっています。

 

 

 理屈が通って、会社の経費負担を最低限に抑え、駐在員・帯同配偶者にとっても、また他の駐在員達にとっても納得性の高い対応を、考えてみてください。公平性の担保も、忘れてはいけません。
因みに、こういう案件には、正解はありません。会社として、海外事業や関係する人達を、どう考えているのかが、この類の対応に表現されるということです。

 

 

 規程通り(型どおり)に対応する会社もありますし、丁寧に取扱を検討し説明する会社もありますし、現法責任者の裁量に任せるという会社もあるでしょう。

 

 

【規程の想定が、崩壊しつつある】

 

 そもそも、従来の海外駐在員取扱規程は、帯同配偶者は日本人を想定していますよね。ですから、一時帰国の取扱に関しては、めったに問題は起こりませんでした。

 

 

 しかし、最近は、国際結婚されている従業員が散見されるようになり、規程の想定に当てはまらないご夫婦が、海外赴任するようになってきました。私の経験では、独身の駐在員が東南アジアや中国の赴任先で、現地の女性と恋に落ちて、結婚するパターンが幾つかありました。恋とは、やっかいなものです。


日本への一時帰国や帰任する際の、奥様の在留資格取得など、いろいろ勉強することが多かったですね。

 

 

【特殊事例が、特殊じゃなくなる時代がくる?もう、来た?】

 

 

 今回は、帯同配偶者が外国人というお話でしたが、最近では、従業員がそもそも外国人で、その人を海外駐在させるというパターンも、良く聞くようになりました。今までは、そういった事例は少数派でしたが、だんだん増えてくるでしょう。

 

 

 日本人の社員が、日本人の帯同配偶者と子女を伴って海外赴任するという想定は、今のところ、まだ機能しているようです。しかし、規程外の事例が増加していることに、ちゃんと「耳を澄まして」変化の予兆を感じ取ることが、重要なのかもしれません。

 

あなたの会社の事務所や作業場で、やたらと外国人の従業員が目に付きませんか?
変化は、間違いなく、すぐそこまで来ているようです。
ドアをノックする音が、聞こえています。

 

次回は、海外での生活で重要な、「健康管理」について考えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

【連載】第 12 話 えっ?バイク持って帰りたいって?取扱規程外の願い事

2019.05.27

12 話 えっ?バイク持って帰りたいって?取扱規程外の願い事

 

 

 海外人事を担当していると、駐在員からのいろいろな問い合わせや「お願い事」に対応することがあります。

 

 

ある会社の海外人事課長の A さん、ぶつぶつ愚痴をいっています・・・・
A:「こないだね、電話かかってきたんですよ。若い駐在員からね・・ ・」
私:「ほー。直接、人事に電話かけてくるんですか?」

A:「そうなんですよ。うちは、駐在員の相談にはオープンに耳を傾ける方針なんですよ。」
私:「それで、なんて言ってきたんですか?」
A:「アメリカで、バイクを買ったって言うんですよ。学生時代から、そのバイクに乗るのが夢だったらしく、貯金をはたいて買ったらしいんですよ。」
私:「ほぉー、若いって、いいっすねぇ。」
A:「ぜんぜん良くないっすよ!帰任するんで、バイクを日本に送りたいんだけど引越貨物として認めてくれっていうんですよ!」
私:「へー、そうなんですね。ところで、それは認められないんですか?」
A:「当たり前ですよ!海外駐在員の取扱規程では、ありえないですよ!」
私:「じゃ、駄目だ!!って、言えばいいじゃないですか。」
A:「それがねぇ、彼にはかなり無理を言ってアメリカに行ってもらったから・・・。」
私:「それとこれとは、話は別なんじゃないですか?」
A:「そうなんですけどねぇ・・・・。無碍に断るのも、なんだかねぇ・・」
私:「御社は、意外と駐在員に優しいんですね。」
A:「大手さんのことは分かりませんが、うちぐらいの規模だと、みんな顔を知った人達 だからねぇ・・・。いろいろ、近所づきあいが面倒なんですわ(笑)」

 

 

 

良くある話ですね。海外人事も、いろんなことに気を使うのですね・・・
あなたの会社の海外人事なら、どんな対応をするのでしょうか?

 

 

 

 日本の会社の「海外駐在員取扱」は、どこも概ね同じような建て付けになっています。
特に、海外引越の規程は、「常識的な範囲」とか「通常、考えられる範囲」等の文言で、荷物として認められる物品の範囲を規定している場合が多いようです。多くの企業で、ピアノや自動車等を、会社補助の引越荷物とは認めていません。

 

 

 

 私が海外人事を担当していた時には、前述のバイクのような事例は、検討するまでもなく、問答無用で「NG」にしていたと思いますね。その人のことを特別扱いして、趣味のバイクの輸送に会社がお金を出すべき、必要十分な理由が見当たりません。

 

 

そうは言っても、人事屋さんも人間ですから、理屈を並べ立てて杓子定規に却下するのは、あまり気持ちの良いことではありませんよね。出来ることなら、「お願い事」など来ない方が、気が楽なんです。

 

 

【規程が想定しているのは?】

 

 

 海外引越は、赴任費用の中で最も高額です。その為、多くの企業で、 「海外での一般的・常識的な日常生活」を想定し、荷物の範囲と容積・重量を制限しています。

 

 

 しかし、この「常識」というのが曲者です。「常識」の「解釈」は、人によってちがっているからです。最近は、赴任者から海外人事への「海外引越のお願い事」が、多く寄せられるようになったようです。「解釈」を論じ合うことほど、面倒なことはありませんよね。

 

 

 私も、海外人事時代には、いろいろな「お願い事」対応をしていました。この「お願い事現象」については、人々の価値観や生活スタイルの多様化が進んだことから、規程が想定している「常識」 では、カバー出来なくなってきたと分析する向きもあります。

 

 

でも、本当にそうなのでしょうか?

 

 

従来の海外駐在員規程が想定していたのは、「海外での一般的・常識的な日常生活」ではなく、「わざわざ言わなくても、常識的な判断ができて、会社に無茶を言うようなことはないだろう」という、駐在員に「期待する人物像」だったのかも知れません。

 

 

【本当に変わったのは、何なのか?】

 

 

海外駐在が珍しかった時代、企業には人柄や素養を考慮して、駐在員を選抜する余裕があったように思います。

しかし、多くの企業が海外事業を急拡大するに従って、人材不足が問題視されるようになってきました。人材確保の為、「全員が海外駐在候補」という時代になってきましたよね。

 

 

 その結果、嘗ての私のような、人生設計で海外駐在など想定してないような社員にも、白羽の矢を立てざるを得ない状況があるのでしょう。
企業が「期待」してきた駐在員の人物像とは、少し違う考え方をする人達が、海外に出て行
くようになったのです。

 

 

 

本当に変わったのは、人々の価値観でなくて、「ビジネス環境」なのかもしれませんね。

 

 

「バイクの輸送」等の事例が散見されるのは、従来の海外駐在員規程が、ビジネス環境の変化に追随できなくなってきたという「囁き」なのでしょうか。

昔と違って、日本企業を取り巻く環境は、どのように変わったのでしょうか?そして、これからどうなって行くのでしょうか?

海外人事としては、駐在員からの「お願い事」を面倒がらず、「変化の予兆」として洞察することが重要だと思います。

 

 

海外人事としては、駐在員からの「お願い事」を面倒がらず、「変化の予兆」として洞察することが重要だと思います。

 

 

次回は、海外駐在員の処遇の目玉の一つ、「一時帰国の取扱」について考えて見ます。

 

 

 

【連載】第 11 話 海外引越、業者選定の要諦

2019.05.20

11 話 海外引越、業者選定の要諦

 海外人事担当者の A さん、来期の予算を策定しながら、ため息をついています。
「対前年比の-
10%ってかぁ・・・給料減らすか?いやいや、そりゃできないな・・」

 

 海外人事担当者の A さん、来期の予算を策定しながら、ため息をついています。
「対前年比の-
10%ってかぁ・・・給料減らすか?いやいや、そりゃできないな・・」

 

 A さんも、上司から強いプッシュがありました。
「もう国内だからぁ~、海外だからぁ~、なんて言ってられるような世の中じゃないんだ!
海外の連中にも痛み分けしてもらわんとな。高止まりしてる経費洗い出して、見直しをかけるんだ!って、社長に言われちゃった。だから、たのんだよ。」

「そうは言ってもなぁ~。みんな、怒り出すだろうなぁ~・・・」


 A さん、プレッシャーで最近は食事も喉を通らなくなってきました。
人事屋さんなら、一度は経験する「コストダウン圧力」ですよね。私も、随分悩んだ覚えが
あります。

 

海外人事の場合、どこの会社もそうですが、給与以外の経費でなんとか辻褄を合わそうと
するのです。労務管理上のリスクは、避けたいのです。

 

私の場合は、「猫の首に鈴をつける」度胸のない小心者で、保身に走りました。 数ある経費の中で、一番目立つところで、 やり易いのは・・・


そうです!海外引越の経費です!
そうだ!いいこと思いついた!海外引越業者の見直しで、コストダウンだ!

 

でも、ほんとにそれでいいのでしょうか?

 

海外引越業者の見直し、なかなか奥の深いテーマですよね。私も、コストダウン圧力には苦労しました。でも、全社的に利益改善に取組んでいる最中、海外人事も着手せざるを得ませんよね。悩ましいところです。

 

私は、経費のコストダウンを考えるときには、必ず踏むステップがあると思っています。
それは、「そもそも、なぜその経費を使っているのか?」ということの理解です。

 

それが分かってないと、価格だけで安直に発注先を変更するのは危険です。

 

【何かを変えたら、必ず副作用が起こる】

 

企業経営において、深刻な不具合が起こる仕組みには、決まったパターンがあります。


会社で仕事をする中で、私たちは様々な不具合に遭遇します。当然、再発を防止するためには、原因を知って対策を講じなければなりません。不具合の原因を分析していると、「設計の変更」「プロセスの変更」「設備の変更」「メソッドの変更」「担当者の変更」等、いくつかの定番があること に気が付きます。何かが変わった時に、不具合が発生し易いのです。

 

その定番の中に、「仕入先の変更」というのがあります。海外引越業者の見直しは、まさにこのパターンなのです。

海外引越業者さんを、価格だけをベンチマークして決定したら、どんな「副作用」が想定されるのでしょうか?

 

【海外引越の困難は、赴任地側にある】

 私は、海外引越を二回経験しました。海外人事では、海外引越業者さんの選定をやった経緯があります。経験上ですが、赴任時の国内での荷物の梱包・引取り作業と、帰任時の国内居住先への配送については、どの海外引越業者さんのサービスも、あまり差異を感じませんでした。

 

 つまり、日本国内でのサービスには優劣を見つけ難いのです。その為、海外引越の事情を良く知らないと、価格の差に注目してしまい勝ちです。

 

実は、赴任者と奥様方は、赴任地での配送プロセスで不満を 持つことが多いのです。

 

【赴任地で起こる様々な出来事】

 私の海外人事時代の経験では、「赴任地での配達で日本人の立会いが無く、言葉が通じなくて困った」というのがありましたね。 奥様が留守番して荷物を待ち受けていると、屈強な現地作業員がドヤドヤと 搬入して、心細い思いをした・・・っていうことなんでしょう。海外の生活に不慣れな奥さんにとっては、大事件だったかもしれません。

 

 その他では、「現地で配達日・時間等の連絡が行き違って困った」、「連絡貰った時間に、一向に来る気配がなく、遅れるという連絡も来なかった」、「知人から頂いた大切なグラスが割れていた」、「通関トラブルで配達が遅れた」等があったと記憶しています。

 

その他では、「現地で配達日・時間等の連絡が行き違って困った」、「連絡貰った時間に、一向に来る気配がなく、遅れるという連絡も来なかった」、「知人から頂いた大切なグラスが割れていた」、「通関トラブルで配達が遅れた」等があったと記憶しています。

 

ペットの問題は、非常にシリアスです。笑い事ではありません。

私自身が経験したのは、二度目の海外駐在で、荷物の一部がどういうわけか配達されず、業者からは1ヵ月近く連絡が来なかったことがありました。のんびり屋の私も、さすがに変だなと思って担当者に問い合わせたら、ずっと倉庫に放置されていたことが判明。

 

赴任直後の不安な時期、激怒して業者さんへクレームする人、海外人事に電話で愚痴をこぼす人、ぽっきりと心折れちゃう人、反応は様々 ありましたが、心理的なインパクトが強く、何年経っても覚えている人が多いですね。

 

【ここで今一度、よ~く考えてみましょう】

 価格の妥当性は、とても重要な検討項目です。それと同時に、もう一つとても重要な視点があると思っています。

海外人事は、赴任者と帯同家族を安全に赴任地へ送り込み、円滑に現地の業務に就いてもらうという、重要な役割を担っています。
海外引越業者さんは、取引業者である一方で、海外人事機能の一部分を担ってもらう重要なパートナーという側面があることは誰にも否定できません
 。

 

 値引きを一方的に要請し、不具合があったら声高にクレームし、他に安価なサービスがあったら直ぐに転注して、「それでは、さようなら・・・」。

 そんなことを繰り返してきた企業が、品質問題で販売不振に陥ったり、不祥事が露見して苦境に立たされたりする様を、私たちは新聞やテレビで容易に知ることができます。

激しい競争の中で力強く生き残っている企業は、仕入先企業と協力しながら品質を向上させ、「安いもの」より「本当に良いもの」を買うことに拘っていることは、良く知られています。
海外人事は、引越業者さんから「物を運ぶサービス」ではなく 、「海外赴任への安心感」を買っているのかも知れませんね
 。

 

次回は、海外人事担当者の頭痛の種、「海外引越、規程外の要望」について考えて見ます。

 

 

 

 

 

 

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