ビザ手配
赴任前の準備事項【健康診断】(海外引越しよもやま話)
2019.12.08
何度もお伝えしておりますが、改めて海外赴任をするときには、健康診断が必要になります。また、特に中国に関しては国政府指定健康診断を受信する必要があります。今回は改めて赴任者の健康診断についてお伝えします。
赴任前の社員の健康診断の実施と予防接種について
1.6か月以上海外で勤務させる場合には事前の健康診断が必要
労働安全衛生規則大45条の2によりますと、社員を海外に6か月以上勤務させる場合はあらかじめ当該社員に対し、同法第44条大1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち、医師が必要であると求める項目について、健康診断を行わなければなりません。ただし、どのような診断結果であれば、海外赴任を中止または延期すべきかの基準までは定められていませんので、最終的には医師の指導のもと、各企業が判断することになります。
【図表①】
2.予防接種
予防接種の中には、数週間おきに何度も注射するものもあります。
そのため海外赴任者の決定後、人事・総務担当者は勤務地国が接種を義務付けている予防接種の種類や、勤務地国で注意が必要な病気についての予防接種に関し、海外赴任予定者及び帯同家族の接種スケジュールを組む必要があります。
【図表②】海外渡航で検討する予防接種の種類の目安
赴任前の準備事項【VISAの申請】(海外引越よもやま話)
2019.12.07
社員を海外赴任させるにあたり、事前に行うべき主な事項
海外赴任予定者が決まって、まず初めに行わなければならないのは、勤務地国へ入国するためのVISA(査証)取得手続きです(VISAとは、勤務地国の在日大使館または領事館が発行する入国許可の推薦状です)。
この手続きが順調に進まなければ、計画通りの時期から必要書類をそろえておく必要があるかを十分に考慮する必要があります。
VISAの意味、役割は各国枚に異なります。入国許可のための推薦状であったり、滞在許可を意味する場合もあります。また、国によってVISAなどの申請手続き、添付書類の種類も異なり、中には当該国の在日大使館、領事館の認証や、出身校の卒業証明書、無犯罪証明書などが要求されるケースもあります。これらの書類の取得には日数を要するケースも多いため、VISAに関する手続きは、できるだけ早めに行うほうが安心です。
※VISA申請時には旅券(パスポート)の残存有効期間を確認してください。もし有効期間が6か月以下などVISA申請時に必要な残存有効期間を満たしていない場合は、旅券を更新してからVISA申請をすることになり、VISA申請が予定より遅れることになります。
【連載】失敗から学ぶ海外人事(第 18 話 えらいこっちゃ、米国ビザがとれない!)
2019.07.17
第 18 話 えらいこっちゃ、米国ビザがとれない!
ある会社の海外人事担当の A さん、赴任予定者からのメールをみて愕然としています。「米国大使館でビザ申請の面接したところ、却下されました。すんません・・・」大変なことが起こりました。「まさか、申請拒否されるなんて、思ってもみませんでした・・・」なぜなんだろう・・担当の A さん、頭をかかえてしまいました。
「えらいこっちゃ・・・どないしよう・・・」心が、ひんやりと冷え込んできました。事業本部には、「赴任準備は順調」と報告してしまったし・・・こういうことは、よくあることです。こんな時、どうすればいいのでしょうか?
米国のビザ取得の申請で、「却下」となることは、実はよくあることです。
書類に不備があったり、虚偽の記載があると判断されたり、米国に住みつく可能性がありそうだと判断されたり・・・
領事は常に、注意深く、申請者と申請書をチェックしているのです。一度、「却下」されると、後々非常にやっかいなことになりますよね。
【赴任させるべき人材を、赴任させることが出来なくなった】
海外事業に駐在員を投入する場合、それは大きな人的投資であると共に、場合によっては会社の屋台骨を支える重要な人員配置となります。候補者の人選を注意深く行い、本人の説得に神経を使い、大きな予算を割いて赴任前研修をして、「さぁ!いよいよ赴任だ!」のタイミングで、「ビザ申請却下」。
会社としては、ほんとうに大きな痛手です。私は海外人事時代に、米国赴任予定者のビザ取得の面接日には、なんとなくそわそわしていました。会社に実績があり、ある程度の信頼が構築されている場合には、そんなに心配することはありません。でも、毎回、「まさか!」というような事態にならないか・・・とても不安でしたね。
幸いにも、私が在任中には「まさか!」は起こりませんでした。でも、世の中には、その「まさか!」によって、事業に大きな影響を受けた企業が、けっこうあるそうですね。
【係官は、注意深く人物を観察している・・】
ずっと以前に、ある日本の在外公館関係の方から、お聞きした話です。外国の人が、日本のビザを申請する場合には、大使館や領事館が窓口になっていますよね。そこで、申請にきた本人を領事さん達は、注意深く観察しているのだそうです。
申請書には、「技術者」と記載されているけど、まったく「技術者」には見えない人、「ビジネス」と記載されているけど、派手な色のシャツ着て「到底、ビジネスマン」には見えない人、「歌手」だそうだが「はぁ?」な雰囲気の、、、、、
「申請書」の記載内容と、実際に現れた人物とが、一般的な感覚で余りにも乖離がある場合や、遣り取りの中で記載内容と異なることを証言したりすると、不自然ですよね?
そういう時には、審査を厳格にするのだそうです。その結果、許可しないという結論になる場合も、あるそうです。
米国ビザの場合においても、立場は逆ですが、私たちは米国の係官に面接の時には、かならず「観察・評価」されているに違いありません。
申請に来た人物が本人かどうか、虚偽の記載がないかどうか、任期が終わったら必ず日本へ帰国するのかどうか、目的にあったビザを申請しているかどうか・・・、そういうことを、面接時に証言や態度を観察しながら、判断しているのでしょうね。
私は海外人事時代、米国赴任予定者には、「必ず、ビジネスマンらしい服装で面接を受けに行ってくださいね。そんなことはしないと思うけど、短パンにアロハとか絶対だめよ。ビジネスマンとして信頼を得ることが出来る 服装していってね。」と、強く要請していました。
【却下されそうな、深刻なケース】
米国ビザの申請却下を受けそうなパターンは、いろいろありますが、少々神経質な問題も孕んでいます。米国での不法滞在歴、犯罪歴、過去のビザ却下の履歴等は、かなり深刻です。
海外人事としては、非常に取扱いが難しいのですが、赴任候補者が「会社には言いたくないから、沈黙している。」という可能性を排除してはいけません。また、海外人事の手続き担当者が、米国入国管理法の勉強不足で、申請すべきビザが違っ
ている場合にも「却下」されることがあります。「正直」に記述したとしても、「却下」されることがあるので、ビザの選択は慎重に行うべきです。
駐在員のビザ申請は、非常に重要ですから、不明な点があれば必ず専門家に相談することが妥当だと思います。
【もしビザ却下されたら、どうすればいいのか・・・】
私が経験上言えることは、米国ビザでトラブルが発生した場合には、素人では対応が非常に困難だということです。よく分からないまま、焦って対応を間違うと状況が悪化してしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。
米国ビザのトラブル対応に詳しい、国際法律事務所があります。そういう経験豊かで、米国側としっかり連携している法律事務所に相談すれば、少々お金がかかりますが、何らかの解決の糸口が掴めると思います。
次回は、海外人事が苦労する「駐在員・帯同家族の医療費の精算」です。