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海外で生活する前に知っておきたかったコト!Overseas Tips

【連載】失敗から学ぶ海外人事(第 13 話 奥様は外国人、駐在員の一時帰国は難しい)

2019.06.14

 

 

13 話 奥様は外国人、駐在員の一時帰国は難しい

 

 

 国際結婚があまり珍しいことではなくなったのが、随分と昔のことのように感じる、今日この頃です。私の海外人事時代にも、駐在員の奥様が外国の方というパターンが、何組かいらっしゃいましたね。

 

 以前、海外人事セミナーで知り合った、ある会社の海外人事担当者との会話を思い出しました。 彼の担当する北米駐在員の奥様が、オーストラリア人で、学生時代に知り合って結婚されたそうです。小さい子供さんもいて、楽しく駐在生活を送っていたそうですが、一時帰国の権利が発生する年に事件が起こりました。

 

 

 その駐在員からの質問は、「日本もオーストラリアも、一時帰国の対象になるのか?」ということだったそうです。「残念ながら、駐在員本人の母国(日本)への一時帰国を対象としている。」と、あまり深く考えずに回答したんだそうです。

 

 

 この回答が、円満だった駐在員の家庭に、不穏な空気を巻き起こしてしまいました。

 

 

「一時帰国は、日本しか対象としてないんだってさ。」彼は、オーストラリア人の奥様に、海外人事からの回答を伝えたところ・・・・。

 

 

 

「はぁあああ?どういうこっちゃ?○△××♯♭◎××◎○!!!!(翻訳不能)」奥様が激怒してしまいました。
奥様としては、最初、日本に「行って」ご主人の両親に孫の顔を見せて、後にオーストラリアへ「帰って」自分の両親に会う・・・というパターンを心に描いて、楽しみにしていたらしいのです。彼女は、「一時帰国」という制度は、てっきり全てが会社負担だと思い込んでいたのです。

 

 

 その会社が、どういう取扱で対応したかまでは、話してくれませんでしたが、機会があれば訊いてみたいですね。駐在員の家庭不和は、海外事業の危機に発展するかも知れません。
とても、難しい問題ですね。

(*会社によっては、既に外国人の帯同配偶者を想定して規程に織り込んでところもあるようです。)

 

 

【私だったら、どういう対応をするかなぁ・・・】

 

 

① 奥様の願いには一切関知せず、規程通りの対応をする。
② 赴任国→日本→オーストラリア→赴任国、すべて会社負担にする。
③ 赴任国→日本とオーストラリア→日本は会社負担、日本→オーストラリアは本人負担にする。
もっと他にも、選択肢があるでしょうね。でも、それぞれに理屈を考えるのが面倒ですよね
 。

 

 

 そもそも、 最初に奥様を激怒させてしまったので、後から何を言っても、全て会社負担の対応以外は、気分よく納得して貰えそうにないですよね。最初に、きっちり考えて丁寧に回答すべきでした。

 

 

あなたが海外人事担当者なら、どういう理屈で、どういう取扱をするでしょうか?

 

 

【個別の取扱は、とても難しいのです】

 

 

あなたの対応を、熱い眼差しで見守る人達が沢山います。
駐在員本人、激怒している奥様、周辺にいる上司と同僚の駐在員(応援団)、激怒してる奥様の周辺にいて結果を見守る奥様ネットワーク(応援団。きっと、他社の奥様方もいますよ。 )、噂を聞き付けて興味深く見守る国際結婚している他国の駐在員達などなど・・・・、グローバルに広がっています。

 

 

 理屈が通って、会社の経費負担を最低限に抑え、駐在員・帯同配偶者にとっても、また他の駐在員達にとっても納得性の高い対応を、考えてみてください。公平性の担保も、忘れてはいけません。
因みに、こういう案件には、正解はありません。会社として、海外事業や関係する人達を、どう考えているのかが、この類の対応に表現されるということです。

 

 

 規程通り(型どおり)に対応する会社もありますし、丁寧に取扱を検討し説明する会社もありますし、現法責任者の裁量に任せるという会社もあるでしょう。

 

 

【規程の想定が、崩壊しつつある】

 

 そもそも、従来の海外駐在員取扱規程は、帯同配偶者は日本人を想定していますよね。ですから、一時帰国の取扱に関しては、めったに問題は起こりませんでした。

 

 

 しかし、最近は、国際結婚されている従業員が散見されるようになり、規程の想定に当てはまらないご夫婦が、海外赴任するようになってきました。私の経験では、独身の駐在員が東南アジアや中国の赴任先で、現地の女性と恋に落ちて、結婚するパターンが幾つかありました。恋とは、やっかいなものです。


日本への一時帰国や帰任する際の、奥様の在留資格取得など、いろいろ勉強することが多かったですね。

 

 

【特殊事例が、特殊じゃなくなる時代がくる?もう、来た?】

 

 

 今回は、帯同配偶者が外国人というお話でしたが、最近では、従業員がそもそも外国人で、その人を海外駐在させるというパターンも、良く聞くようになりました。今までは、そういった事例は少数派でしたが、だんだん増えてくるでしょう。

 

 

 日本人の社員が、日本人の帯同配偶者と子女を伴って海外赴任するという想定は、今のところ、まだ機能しているようです。しかし、規程外の事例が増加していることに、ちゃんと「耳を澄まして」変化の予兆を感じ取ることが、重要なのかもしれません。

 

あなたの会社の事務所や作業場で、やたらと外国人の従業員が目に付きませんか?
変化は、間違いなく、すぐそこまで来ているようです。
ドアをノックする音が、聞こえています。

 

次回は、海外での生活で重要な、「健康管理」について考えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

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